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  2. 第131回 時空モノガタリ文学賞 【 電車 】

第131回 時空モノガタリ文学賞 【 電車 】

今回のテーマは【電車】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2017/05/08

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2017/03/13〜2017/04/10
投稿数 105 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
総評

投稿済みの記事一覧

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線路は続かない

17/04/11 コメント:0件 解場繭砥

 線路はどこまでも続かない。そんな揶揄を始めた日から、僕は子供ではなくなった。

 そうじゃない。とても子供だった。

 どっちなの? 人はどうなったら大人なのでしょう。そんな風に問い続ける自分自身を確認することで、わざと答えを出さずに僕は安心しているのだ。

 よくある日常のように、その朝も電車は遅れ、イラついたおじさんは電車が揺れるたびに舌打ちをして、無表情・・・

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怒った電車

17/04/10 コメント:0件 木野太景

 金曜日の夜、停車している終電車に、若い女性がふらりと近寄った。職場の飲み会に最後まで参加したらしく、随分酔っている。
 これから先のことは誰のせいでもない。ただ飲みすぎた酒が、彼女と電車を喧嘩させてしまった結果である。
「お前、何で毎朝、満員電車なんだ!」
 彼女は車体の側面を蹴飛ばした。
「うっ」
 呻く声がした。電車でも横腹を蹴られれば痛い。
「け、蹴ると・・・

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車窓の人形

17/04/10 コメント:0件 土地神

 広大な菜の花畑を、一両だけの電車が行く。日差しを受けて輝く黄色の海は春の穏やかな喜びに満ちているようだ。田舎のローカル線に、私以外の乗客はいない。素晴らしい車窓を独り占めにしながら通勤するこの贅沢なひと時は、私にとってかけがえのないものだった。春はこの風景に加えて堤の上の桜並木が鮮やかで、夏には地平線まで続く水田に大きな入道雲、秋には山々の燃えるような紅葉、そして冬には荘厳な雪景色と、飽きること・・・

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鮮魚列車

17/04/10 コメント:6件 冬垣ひなた

「親父、行ってくる」、定期入れに挟んだ写真を手に呟くのが毎朝の日課だった。
 春の訪れとともに、ようやく栄二の立つ駅のホームもこの時刻、朝日が照り返し寒気が緩むようになった。早朝4時の鮮魚の仕入れで一仕事を終えた栄二は、くたびれたナイロンコートのポケットに入れてあった栄養ドリンクの蓋を開け一気に飲み干す。徐々に老いの忍び寄る体に気を使って、妻が手渡してくれたものだ。
 栄二の足元には、・・・

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女神様のお弁当

17/04/10 コメント:3件 あずみの白馬

 15年ほど前、僕は青春18きっぷで普通列車を乗り継いで、ひとり旅に出ていた。北海道の稚内、北の端を見てみたかったのだ。
 しかし、ダイヤ通りなら山形県の酒田駅で朝食のはずが、列車の遅れのせいで昨夜から何も食べることが出来ず、酒田駅に着いた頃には12時過ぎになっていた。

「えー、乗り換えのお客さまー! 秋田行き普通列車は5分後の発車でーす! ご乗車になってお待ち下さーい!」

2

春の電車

17/04/10 コメント:1件 泡沫恋歌

 ホームの最前列に立って黒い線路を見つめていたが、結局のところ、彼女には死ぬ勇気もない。電車が入ってきたので、ふらりと乗り込んでしまった。
 正午、郊外へ向かう電車には彼女を含めて乗客はたった五人。
 彼女と同じシートに、七十代の老婦人と端っこの座席にはスキンヘッドにサングラスのヤクザ風の男。向い側のシートでは二十くらいの若い娘が化粧をしていた。……そして、赤ちゃんを連れた若い母親がう・・・

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初めての電車

17/04/10 コメント:0件 むねすけ

 お腹の中にも、最近ようやく少し膨らんできたおっぱいの下にも、パンパンにつまっている言葉にしたい思いが父さんの顔を見ると出てこない。
 それは多分、私が自分と父さんの間に見えないガラスのついたてを作ってしまってるからだ。私の言葉でそのついたてはグシャグシャに砕け飛んで、私と父さんにいつまでも治らない切り傷を作るに違いない。だから、私は何も言えないんだ。私は膨らみきってもう吐き出さないと自分が・・・

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父を迎えに

17/04/10 コメント:0件 宮下 倖

 おとうちゃん! と叫んで美加が改札のほうへ駆け出していく。その背中を私はかろうじて抱きとめた。不服そうに手足をばたつかせる美加に「だめだよ」と言うと「おねえちゃんのケチ!」と舌を出される。改札を抜けてくる人にぶつかったら、小さな美加が危ないのに。 
 ため息をついたとき「千鶴子、美加」と私たちを呼ぶ優しい声がした。
 父が改札を抜けてこちらへ来る。「ふたりで来てくれたのかあ」と笑顔で・・・

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江ノ電とわし

17/04/10 コメント:3件 そらの珊瑚

 江ノ電が通るたび、まるで地震のように家は揺れるが、築五十年の古い木造家屋なので仕方なかろう。ひどい騒音だったが、八十五歳の耳が遠くなったおかげでそれほど気にならない。年はとってみるものだ。
 結果、昼寝も邪魔されないのだが、あまり昼に寝すぎても夜に寝れなくなるので、程々にしなければいかん。
 この年だ。昼寝したまま永遠に目覚めなくてもそれはそれで幸せかもしれないと思いつつ、死後発見さ・・・

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正義感

17/04/10 コメント:0件 小高まあな

 私は正義感が強い。しかし、勇気が足りない。
 例えば私は電車にちゃんと乗らない人が許せない。足を組む人、化粧をする人、席を譲らぬ人。なにもかもが許せない。
 しかし、私には勇気が足りない。
 いくら憤懣やるかたない思いを抱いていても、直接注意することなどできない。怖い。
 とはいえ、見逃すことは出来ない。
 ではどうするか?
 態度で訴えかけるのだ。
 ・・・

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いっちゃった

17/04/10 コメント:0件 OSM

 真由が赤貝をミルクで煮込んでいると、インターフォンが鳴った。午後七時を回っていた。火を止め、応対に出る。宅配便だ。荷物は、胸に抱えられる大きさのダンボール箱。送り主は不明。サインをして箱を受け取ると、拍子抜けするほど軽い。
 配送トラックが走り去る音をドア越しに聞きながら、箱を開封する。入っていたのは、根本から切断された男性器。
 ストーカーのおちんちんだ、と真由は思った。
 ・・・

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江ノ電とわたし

17/04/10 コメント:1件 そらの珊瑚

 ナナは、別居中の夫と藤沢駅で待ち合わせた。
 日曜日の雑踏の中で、見覚えのある紺のPコートにキャメル色のコットンパンツをはいた夫がやってくるのを見つける。――また大学生みたいな格好して。遠目には五十過ぎの中年にはとても見えなかった。ナナより十歳年長の夫は、化粧をしないナナと同年齢か、へたしたら年下に見えた。
「ごめん。待たせたかな」
「ううん、今さっき来たとこだから」
 ・・・

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君は電車が好きだねぇ

17/04/10 コメント:0件 あやと穂月

「ねぇ。電車に乗って海に行こう」

白いワンピースの背中を見ながら、僕は思いついたように言ってみた。

「君は電車が好きだねぇ」

振り向きながら答える彼女は、少し呆れた表情を浮かべている。
けれど、その足は駅へと向かっていて、そんなところが彼女っぽいって僕は思った。

券売機の前で肩を並べて、小銭がいくら必要なのか、あぁだこうだと言いあった。・・・

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春秋損得無く

17/04/09 コメント:2件 時雨薫

 李月はじいの操縦する汽車に乗ったことがある。六つのときだ。レバーを握るじいの目尻には深い皺が鋭く刻まれていた。ずんぐりした五体にはいきおいが満ちていた。汽車は酷く揺れた。李月のお尻は熱いくらいに痛んだ。炭鉱の景色は色が少なくて退屈なほどだった。橙や緑の汽車が両脇をすり抜けるときにだけほのかに興味を覚えた。ライトが霞をかき分けて進んで行った。

 垂れ幕には赤字に白抜きで「ರ・・・

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空砲より実弾に撃ち抜かれるということ

17/04/09 コメント:0件 むねすけ

 馬鹿に付き合うと馬鹿な目に合うから、馬鹿とは付き合うなと、父さんに言われて育ったのに。
 教訓というものを、耳の奥まで届けたいのなら、自身の途上も道行きも誠実に舗装すべきで。
 それができていない人間に、人の耳の奥まで届く教訓めいた言葉など装填されることもない。
 父さんの言葉は、いつも空砲。空砲で撃ち抜かれることに慣れてしまった息子の僕は、言葉の実弾に打たれ弱い腑抜けになって・・・

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17/04/09 コメント:0件 リアルコバ

ふと刺すような視線を感じた先は、隣の車両の手前側のドアあたりではなかろうか。
眠たげな眼をさりげなく向けるが、そこにはスマホを見る若者と子供を連れた若い母親、何人かのサラリーマンが立っているだけで、感じた視線の余韻を残す者は見当たりはしない。
(ふうまたか・・・)この過敏に働く神経が作動したときは気をつけたほうが良い。

俺の仕事はブローカー。名刺には大層仰々しく《流通コン・・・

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家路

17/04/09 コメント:0件 みや

いつもなら電車に乗って走っている線路を、今は自分の足で歩いている。線路には砂利が敷き詰められているので、厨房の長靴のまま飛び出した若い男には歩きづらかった。それでもじゃりじゃりと音を鳴らしながら長靴の若い男は線路伝いの家路を急いだ。

通勤電車の準急で家から職場まで約一時間。歩いたら一体何時間かかるのだろうか?長靴の若い男は不安になったが今はただ歩くしかなかった。長靴の若い男以外にも何・・・

2

ガタンゴトン

17/04/09 コメント:3件 笹岡 拓也

僕はこの街を旅立つ。子供の頃から憧れていた仕事に就くことができた僕は、生まれ育ったこの街から離れることになる。想い出もいっぱい詰まっているこの街を離れるのは少し寂しいけど、この街にいたからこの仕事に憧れることができたんだ。
「じゃあ行ってきます」
父さんは僕のことを見送ってはくれなかった。きっと父さんも寂しいんだろう。母は僕が幼い頃に亡くなった。それ以来、男手ひとつで僕のことを育ててく・・・

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いまここにある贅沢

17/04/09 コメント:0件 ケイジロウ

 チャチャラリー ティラティラ ティーン
 安っぽいノイズのかかった、人をおちょくっているとしか思えない音楽とともに、僕たちが乗る予定の電車が、8時間遅れでプラットホームに入って来た。構内アナウンスで何か言っているが、外人の僕たちには何を言っているのかわからなかった。しかし、謝罪の言葉が一言も入っていないことは、ノロノロだるそうに走るスカイブルーの電車から読み取れる。
 指定席だという・・・

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パパより

17/04/09 コメント:7件 つつい つつ

 花ちゃん、元気にしてますか。パパは元気かどうかわからないですが、とにかく生きています。この前、公園で拾った新聞を久し振りにじっくり読んで気づきましたが、パパが家を、ママを、君を捨ててから、もう2年以上経っているのですね。もう、君はこの春から中学生になるのかな。そばにいられないことを申し訳なく思います。
 40を過ぎてママに出会い、結婚し、君が生まれてすくすくと育ち、小学校に入り、そして、パ・・・

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どこへ行くのか

17/04/09 コメント:0件 カフェオレ

「人が何も疑わずに電車に乗っている事を君はどう思う?」
通学を共にする友人からそう言われ、いつもの不毛な議論がまた始まるのかと僕は疲労を感じた。なるべく感情を押し殺して答える。
「特に何も思わん」
友人は僕の回答を無視して続ける。
「ヒトラーはユダヤ人を列車で収容所に送っていたんだぞ、この電車もどこへ行くか分かったものじゃないぞ」
冗談にしても毎日通学にお世話になって・・・

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青い電車

17/04/09 コメント:1件 かめかめ

 サラリーマンがふらふらと道を歩いてきた。ずいぶん酔っぱらっているようで、顔が真っ赤だ。薄っぺらい書類カバンの重さに振り回されるように右に左によろけている。
 行く手の駅に電車が停まっているのが見えて、サラリーマンはハッと顔を上げた。
「終電じゃないか?」
 急に酔いが覚めたような心地になったが、しっかり酒が染み込んだ体はいうことをきかず足がもつれて道端にたおれこんだ。
 ・・・

1

彼に正面から向き合うと、この恋は終わってしまう

17/04/08 コメント:2件 浅月庵

 高校の入学式前日、父が目を輝かせながら私に言った。
「香苗は明日から電車で学校か。羨ましいなぁ」
「お父さんみたく車で通勤の方がよっぽど楽でしょ」
「僕だって通勤ラッシュの恐ろしさは知ってるよ。だけどさ、電車って.......格好良いじゃないか」
「はっ?」
「前から見た時の武骨さと、側面のスマートなデザイン。たまらん」
 新幹線や蒸気機関車ならまだしも、私が・・・

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おきつね電車

17/04/08 コメント:2件 待井小雨

 新しい高校に転入するというその初日から寝坊をぶちかまし、俺は必死で走っていた。
 予定よりもだいぶ遅れて小さな駅に駆け込んで、「乗る乗る乗ります!」とドアに滑り込む。この電車に乗れても遅刻なのは確定しているのだが。
 肩で息をしながら制服のシャツのボタンを外して緩ませる。初日くらいはきちんとした格好で登校しようと思っていたのだが、すでに無理そうだ。
 車内には俺と小さな男の子の・・・

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あくまで疲労から

17/04/08 コメント:0件 佐々木嘘

 とにかくその時の私は疲れていたのだ。泥沼の末の離婚が決まり、根も葉もない噂による職場での居心地の悪さ、祖父の危篤の知らせで毒母の待つ実家。へ、向かう電車の中で私と向かい合わせの椅子には5歳ほどの女の子が足をバタバタさせながら座っている。勿論知らない子だ。
「いやーでも本当に久しぶだねぇ凛子。随分と別嬪さんになって」
 にこにことそう話す女の子は自称、10年前亡くなった祖母の幽霊だ。<・・・

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sakura

17/04/08 コメント:0件 かいわれ

「わあ 奇麗だね」
電車の窓からは桜がよく見えた。今年も満開だ。彼女は嬉しそうに言う。
「この唄 そのまんまだね」
彼女はいきものがかりのsakuraを聞いていた。
いきものがかりはデビューする前、このあたりで路上ライブをしていたらしい。
買ったばかりのiPodに入れて毎日聞いている。おきにいりの曲だ。
電車からはよく桜が見える。桜が見事だ。
桜並木を行き・・・

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きっかけさえも、拾うもの

17/04/08 コメント:1件 夜宵 菊



朝の通勤ラッシュとは違って、西陽の差し込む暖かく何処か寂しげな空気を纏うそこで今日も私は彼を見つめる。


サッカーが強い事で有名な男子校の学ランに、すらりと制服から伸びる手足は高校生らしい華奢さを孕みながらも、骨ばった大きな手にキュンとしてしまう。


(はじめまして・・・、)


少し癖のある可愛い襟足の黒髪。

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菜の花電車

17/04/08 コメント:0件 森伸

最近疲れていた。電車に乗ると、乗り越してしまうことが多い。昨日は終点まで乗ってしまった。会社の仕事が忙しくて、疲労が澱のように体に溜まっている。経理事務の仕事で、神経を使うものだ。仕事を終えて会社を出るときは、目がかすんで足が重いことが多い。今日も夜の9時まで残業だった。それが終わって、各駅停車の電車に乗り込む。いつもは空いているのだが、今日は乗っている人が多い。金曜の夜だから、会社帰りに出かけた・・・

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準急電車が発車します

17/04/08 コメント:0件 そらの珊瑚

日曜日の朝風呂は
どこか わくわくとして後ろめたい
隣のおばさんがそろそろパクチー(犬です)を散歩させる時間
湯気で白く曇っている気配の浴室の窓をちらりと見て
一体誰が入っているのかしらんと
噂話を集めるアンテナにスイッチを入れるだろう

「朝風呂に入ってるのはご主人かしら
 昨晩はだいぶ遅いお帰りみたいだったし
 お隣のことなんて
 ほ・・・

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そのアナウンスは誰が為に

17/04/08 コメント:0件 日向 葵

『只今、人身事故の為運転を見合わせております――』
 朝の構内にアナウンスが響いた。雑多に混み合う中、二列に並んでいつ来るかもわからない電車を待つ。背後からは溜息や舌打ちがちらほらと聞こえ、私の前に立つスーツ姿の男は腕時計を睨みながら、綺麗に磨かれた革靴をカツカツと打ち鳴らしている。これでは出社時間に間に合わないだろう。そんなことを考えつつ、僕は千草のことを思い出した。

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電車ごっこ

17/04/08 コメント:0件 佐々木嘘

 あっ、と。振り返るとそこに電車があった。真っ赤な電車だ。一両だけの玩具みたいな電車だった。
「……駅?」
「乗りますか?乗りませんか」
 急かす風ではない口調でそう言った運転手は制服姿に狐のお面を被っていた。
「の!乗ります」
 慌てて駆け込み私はとりあえず椅子に腰を掛けた。数秒後電車はゆっくりと進みだす。少し落ち着いたので状況を整理しようと思った。まず、どうして私・・・

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電車姫

17/04/08 コメント:2件 雪見文鳥

 何かに見られているような気がして、私はふっと顔を上げた。見れば、私の向かいの席に座っている、黒髪の女の子がじいっとこちらを見つめていた。文庫本で顔を覆い、本に熱中しているふりをしながら、その目はしっかりとこちらを捉えている。午後4時、たそがれ時の電車の中、私の心は奇妙な緊張感に包まれていった。
 しかし、しばらくして、女の子が見つめているのは私じゃなくて、私の隣に座っている雄一だと分かった・・・

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迷子

17/04/07 コメント:0件 時田直巳

満員電車に揺られ、僕は渋谷に向かっている、と思っていた。しかし、違ったようだ。まあ、逆から行くのも悪くない、と思いそのまま乗っていた。
人の流れにのって駅に降りる。時計を見た限り、一限に間に合いそうだ。僕は走って大学に向かった。
ここが何処だかわからない。迷ってしまったようだ。走っても、走っても大学に辿りつかない。仕方ない、駅に戻ろう、そう思っても駅に戻る道さえわからなかった。<・・・

1

なんで?

17/04/07 コメント:2件 霜月秋介

「ねぇママぁ、なんでこの電車、みんな横並びで座るようになってるの?なんか落ち着かないよ」

「そのほうが、多くのお客さんが乗れるからよ。我慢しなさいね」

「はぁい…」


 夜の電車のロングシートに座る母と子。そのまわりにはいろんな乗客が乗っている。スマートフォンに夢中な女子高生、雑誌に夢中な男子高生、これから夜のデートに向かうOL、イヤホンを聴きながら・・・

1

線路沿いのアパートの中で

17/04/07 コメント:2件 吉岡 幸一

「だいぶ熱も下がったみたいね」
 冷蔵庫で冷やしておいたタオルを小さく畳んで春男の額に乗せると、礼子は微笑んだ。
「ああ、冷やしすぎ」
 不満そうに言ってはいるが、春男の目は笑っている。
 風邪をひいて寝込んだとはいっても、二日目には熱も下がり食欲もある。体のだるさは残っているが寝込むほどではない。
 なら何故寝ているのかといえば、礼子に看病されるのが嬉しくてわざと春・・・

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朝目が覚めると、寝台特急の個室に美女がいた

17/04/07 コメント:8件 あずみの白馬

『今日は、2013年4月7日、時刻は、午前6時30分。寝台特急北斗星、只今、時刻表通りに運転しております』

 車内放送で目が覚め、気がつくと寝台特急の個室の中にいた。

「こ、これはいったい!?」

 目の前には、6〜7歳ぐらい年上の綺麗な女の人が寝ていたが、しかし、僕の驚いた声で目を覚ました。

「ん……? な、なーに? どうしたっ・・・

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異空間

17/04/06 コメント:0件 大ア歌寿


 プー、ゴオー。今日最初の特急がこの駅を過ぎて行った。もう見慣れたこの景色、この音で一日の始まりを感じる。
私の家は駅から5分ぐらいのところにあるマンションで、電車の音がよく聞こえる。駅近が売りだけれども、この駅は普通しか止まらない。しかもホームがかなり曲がっていて電車とホームとの隙間がかなりある。この駅近くにもう18年住んでいる。
「ゆうこ、朝ご飯はどうするの?」
「い・・・

0

車内放送

17/04/06 コメント:0件 秋 ひのこ

 地方の中核都市。郊外から市街まで十駅を結ぶ東西線は、四両編成の市民の足である。
 車内で女子高生が話している。
「そういえば、あの変な車掌のアナウンス、今日ないね」
「K子、昨日休んだじゃん。昨日が最後だったんだよ。『皆様、わたくしは本日をもって退職でございます』って言ってた」
「あ、そうだったの?」
 え、そうだったの? ネットニュースを読むふりをしつつ、T田は女・・・

2

思い出トレイン

17/04/05 コメント:2件 本宮晃樹

 四十年なんてあっという間だ。
 かたちばかりの花束贈呈に続く白々しい拍手のなか、十五時には退社した。いたたまれなかった。みんなの視線は明らかにこう物語っていた。「役立たずの給料泥棒がようやくいなくなる」。
 なんにせよこれからわたしは自由の身になる。第二の人生が始まるのだ。
 ところで、第二の人生とやらはなにをしてすごせばいいのだろう。それもたったの一人で。
 それは帰り・・・

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脆い糸。

17/04/05 コメント:0件 水月 鳴

「まもなくドアが閉まります。ご注意ください」
そんなアナウンスと共に美咲が階段を駆け上ると、優しい車掌がドアを閉めずに待っていてくれた。ギリギリのところで飛び乗った電車。いつもは必ず電車が駅に到着する五分前にはホームにいるはずなのに、今日は家の鍵を閉めてから忘れ物に気付き、さらに駅までの交通手段である自転車の空気が何故か抜けていたせいで、あわただしい朝になってしまった。
朝はのんびりし・・・

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通勤電車同盟 ──刑事:百目鬼 学(どうめき がく)──第26話

17/04/04 コメント:0件 鮎風 遊

 朝の通勤電車、駅に到着すると同時にサラリーマンたちが押し合いへし合い乗り込んで来る。結果、この6両目の後方部もすし詰め状態だ。
 しかし、ここは異常なほど静か。なぜ?
 例えば部長クラスと思われる中年男性、席に座り、目を閉じたまま身動き一つしない。きっと新企画を練ってるのだろう。
 その隣ではいかにも営業スタッフ風な女性が、接待疲れか太ももまで露わにし、爆睡中。その前ではくたび・・・

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猫のタマ代さん

17/04/03 コメント:5件 茉莉花

年に3回、お正月に夏休み、そしてゴールデンウィークは父さんの生まれ故郷の長崎へ
帰るのが我が家の恒例行事となっている。
5年前、お爺ちゃんが亡くなり、今はお婆ちゃん1人で田平というところに住んでいる。
今年もゴールデンウイークがやってきた。また松浦鉄道に乗ることができるなんて嬉しい!

松浦鉄道というのはお婆ちゃんち行く時、必ず乗る1両だけのバスみたいな電車のこと。<・・・

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最終電車

17/04/02 コメント:0件 かつ丼

冷房の効きが悪い会社で仕事がはかどらず、また最終電車に乗り遅れてしまった。家まではこの駅から電車で一時間程かかるからタクシーを使うわけにはいかない。かと言って、このかなり郊外の駅前には泊まる場所もない。どうしたものかとベンチに座り込んでいると、他にも客とおぼしき人が何人かホームに立っているのが見えた。逆方向の電車はまだあるのかと時刻表を確認してみたがそれもないようだ。それではあの人達は何を待ってい・・・

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2通り

17/04/02 コメント:0件 PURIN

知り合いから聞いた話です。

ある休日、知り合いはお子さんと2人で出かけたそうです。おいしい食事をしたり、買い物をしたりしてとても楽しく過ごせたそうです。

それは帰りの電車内で起きました。席が空いていなかったため、よく揺れる特急の中、知り合いもお子さんも立っていなければなりませんでした。
しばらく揺られているうちに、お子さんが疲れていないかどうか心配になってふと見る・・・

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隣の咳嗽

17/04/02 コメント:0件 PURIN

金曜21時頃、満員電車にて。


ケホッ ケホッ

(あー前の席空いた。やっと座れる…)ボスッ

コホッ コホッ

(今週は本当疲れた…)

ゴホッ ゴホッ

(さっさと帰って泥のように眠ろう…)

ゴホン ゴホン

(…そう言えば、左隣に座ってる女の人、さっきからずっと咳してるな)

0

tattoo

17/04/02 コメント:0件 PURIN

今日、電車で腕にタトゥーを入れている人を見た。

僕が乗った車両の座席はどこも空いていなかったので、立ったままつり革に掴まってしばらく窓の外を流れる景色を見ていた。

(暇だなあ…スマホも電池もうほぼないから使いたくないしなあ…)

などと思いながらふと横に立っているタンクトップの男の人を見ると、僕の目線より少し高い位置にある上腕に、黒いインクで大きく翼を広げた・・・

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デンオとテツオ

17/04/02 コメント:2件 入江弥彦

 僕は電車オタクだ。
 自分でそう言っているわけではないし、本当はみんながいうほど電車が好きなわけじゃない。
 けれどもそれが僕のイメージであり、まわりからの評価なのだから仕方がない。電車オタクでは長いからと、デンオと呼ばれている。
 クラスメイトが僕のためにとランドセルがパンパンになるほど詰め込んでくれた紙くずを捨ててから、いつもの場所に向かった。
 立ち入り禁止の看板を・・・

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通勤電車

17/04/01 コメント:0件 比些志

その日は雨だった。電車はすし詰めの満員。今日が初出勤日。高校生のときから乗りなれた朝の通勤電車だが、真新しいスーツ姿で乗りこむと、心なしか気分も違う。ようやく自分も社会人の端くれに加わることができたというような誇らしさが、気持ちをたかぶらせた。しかし電車が走り始めると、その高ぶりが緊張に変わり、いやがおうにも吊革を握る手が汗ばみ始めた。ーー突然、停止信号で電車が止まった。なんのアナウンスもない・・・

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走れ、赤い守り神

17/04/01 コメント:0件 秋 ひのこ

 これは、携帯電話もパソコンもない、世の中がもう少し不便でもう少し柔らかかった頃の話。

 
 山深い集落に二駅分の区間を伸ばす計画が出たのは戦後間もない時期だった。揉めに揉めてようやくまとまった青写真で、うち、つまり祖父の家だけがちょうど予定経路上にあるということで立ち退きを迫られた。
 祖父は断固拒否したが、最終的にお上と企業様の前に膝をつく結果となった。
 僕が・・・

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かわしま

17/03/31 コメント:2件 スパ郎

移動手段が殆ど車の俺が電車に乗るのは2,3年に一度くらいで今日はその2,3年に一度のその日だ。
俺はどうも電車が苦手だ、何が苦手って席につくと向かい側に人がいるからだ別に対人恐怖症とかそういう類ではないが向かい側に人がいるとついついチラチラと見てしまうのである悪い癖なのだ、見ないように意識して目を閉じたりするがどうも向かい側に人がいるって考えるだけで落ち着かない。 それなら立って窓の外でも見・・・

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17/03/31 コメント:0件 鷺くじら

 気がつくと僕は駅のホームにいた。駅のホームは二つの線路に挟まれていて、ホームにあるはずの黄色の点字ブロックはどこにも見当たらない。それどころか屋根すらなかった。空は昼間のように明るいが太陽はどこにも見当たらない。なぜ自分はここにいるのだろうか、なぜ自分はここに来たのだろうか……。わからない。でも漠然と電車が来るのを待っていることはわかった。
 僕はスマートフォンを取り出して時刻を確認する。・・・

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M氏

17/03/31 コメント:2件 貞治参

 目の前に、一人の女性が後ろを向いて立っている。
 私は、人の波に揺られながら、彼女とつかず離れずの距離を保っている。ふとした瞬間に、うなじのあたりから香りが漂ってくる感覚を覚えるも、実際は周りの有象無象の放つ匂いで何が何やらわかりはしない。
 額から汗が流れ落ちる。暖房が効きすぎだ。それともこれほど人が密集しているせいだろうか。あるいは、これは心因性の……?
 顎を引いた私の頭・・・

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トランスフォーメーション

17/03/30 コメント:0件 ひーろ

 遮断機の向こう側に立つ女の人と目が合った。冷たく突き放すような目。ふいに視線を逸らした先に立つ幼い少年が、僕を見て笑い始めたような気がした。居た堪れなくなって俯くと、足元に蟻がうろついている。仲間のために何やら食べ物を運んでいるらしい。役立たずの自分とは対照的に見えて、不甲斐ない気持ちが胸を侵食する。さらに視線を脇に移すと、「左見て右見て渡れ」という注意書きが目に入る。前さえ見られない僕は、渡っ・・・

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思い出の電車

17/03/29 コメント:0件 shimaken

 ガタンゴトン、ガタンゴトン。

 電車の走る音がなんだか心地よく感じる……いつもならラジオで音楽を聴いているところだが、今日は違った。乗っている乗客は僕一人で、少し寂しかった。
 僕はカメラを手に持ち、電車がもうすぐ通る、ある場所を、今か今かと待ち続けていた。
 僕は県外の大学を受験し、無事に合格した。この春から新生活が始まる。しかし、始まりがあれば終わりがある。今乗って・・・

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ディレクターズカット

17/03/29 コメント:0件 猫春雨

 カンカンカンカン
 踏切で長らく足止めをされていた。
 電車は途切れることなく私の目の前を通過し、そのたびに車窓に過去の記憶が映し出される。
 ここを通過している電車は回送だ。
 私を降ろした電車は過去へとさかのぼり続けていた。
 いつ、この踏切を渡ることができるのだろう。
 辛い過去しか持たない私には、この延々と流れる映像は拷問に等しかった。
 そう、・・・

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出逢いは電車、恋という衝動。

17/03/29 コメント:0件 

 拝啓 貴女の名前の如き暖かい風を少しずつ感じるようになりました。春子様はいかがお過ごしでしょうか。
 思い返してみると、僕が貴女と初めて出会ったのも、今日のような春の入り口でした。十年前、僕たちはまだ高校生でしたね。通学電車に乗ってきた、長い襟のセーラー服に身を包んだ貴方はあまりにも綺麗で、僕は貴女に一目惚れしてしまいました。
 あの当時はまだ携帯電話も普及しておらず、どうすれば貴女・・・

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アポリネールの鐘は鳴る

17/03/28 コメント:2件 吉岡 幸一

 今日も僕は博多駅発の快速電車に乗って家に帰っている。午後六時過ぎの車内は仕事帰りの人々で溢れている。話す人は少なく、誰もが黙って目的地の方角を向いている。
 立っている人も多かった車内は一駅ごとに減っていき、ちらほらと空席も増えていく。
 僕は一人この一番前の車両で座ることもせず立っている。車窓に広がっていた賑やかなビルの群れも減ってきて、背の低いマンションや一軒家の地域を過ぎていく・・・

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夢で会えたら

17/03/28 コメント:1件 ぽん

「起きてください。着きましたよ」
隣に座る女の子に、僕は目覚めさせられた。
僕は慌てて膝の上に広げていた英単語帳をリュックにしまい、小さな声でありがとうございますと言ってそそくさと電車を降りた。

僕の通う男子校は地元じゃちょっと有名な進学校で文武両道を校是としている。実際、進学実績も部活動の成績も優秀だった。とはいえ内実は、勉強組とスポーツ組に分かれていて、本当に文武両道・・・

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電車は些細な奇跡を運ぶ

17/03/27 コメント:0件 上木成美

電車に乗る前から嫌な予感はしていた。それでも早く家に帰りたかった。最近寝不足で、おまけに昨日の夜から少し熱があった。今日を乗り切れば明日は休みだし、大丈夫だろうと思っていたのだが、頭は熱いのに手足は冷え切って、夏だというのに寒さで鳥肌がたっている。今すぐベッドに倒れて込んで寝てしまいたい。車内は混んではいないが座れるほどには空いていない。あと三駅、三駅耐えれば自宅のある駅に着く。駅からはタクシ・・・

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血液と記憶

17/03/27 コメント:1件 小岩井豊

 私は死人の血を舐めたことがある。人身事故があった翌日のことだ。

 T線H駅は急行通過駅で、投身自殺の名所らしい。特にこの時期になると月二の事故は覚悟した方がいいという。
「うちの友達の知り合いがさ、あの駅のホームに立ってたとき掴まれたんだって、足首。だれもいないのにだよ」これはクラスの子の証言。友達の知り合いってところが怪しいから私は信じていないけれど。ともかくそんな話もあっ・・・

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無常風

17/03/27 コメント:0件 十文字兄人

 僕が小学三年生のころの話。

 僕が通う塾から自宅まで自転車で帰る道の途中に、歩行者しか通り抜けられないほどの小さな踏切があった。警報器や遮断機のないその踏切には、バイクなどが入らないように両側の出入り口にポールが立っている。自転車は降りれば通れる道だったので、僕は毎日のように利用していた。

 その日もいつものように夕暮れ空の下、自転車でその踏切まで来た時にタイミング悪・・・

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帰る場所

17/03/27 コメント:0件 八王子

 子供の頃、これに乗ればどこへでも連れて行ってくれると思っていた。
 おばあちゃんの家。
 遊園地。
 海に山。
 父と母と三人で。
 でも、大人になる前に知ってしまった。
 自分の足ではとても歩いて行けない場所に連れて行ってくれる電車にも限界があることを。
 どこにでも行けると思った電車は、敷かれたレールの上を走るしかなかった。

 子供の頃・・・

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追憶

17/03/27 コメント:0件 あずみの白馬

 いつもあなたは笑顔で私を出迎えてくれた。 それなのに……



 私の地元は、山あいにある、ちょっと昔の日本ならどこにでもありそうな、のどかな村。

 小学生の頃、桜の咲く季節、私はあなたに出逢った。

 それからはいつも、あなたと一緒に学校に通った。

 中学、高校も、同じ方向だった。だからあなたとはいつも一緒だった。

・・・

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暗部を照らして

17/03/25 コメント:0件 浅月庵

 ◇
 人は想像力の乏しい生き物だ、と私は思います。
 あなたたちが考えているよりも残念なことに、ずっと。

 ◇
 私には血の繋がった家族が母親しかいません。それは私がまだ物心つく前に、父が病気で亡くなってしまったからです。
 それから母は女手一つで私を育ててくれました。
 裕福な生活からは程遠い、孤島のような場所に私たちは取り残されていましたが、私は母・・・

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はる行きでんしゃ

17/03/25 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 はる行きでんしゃが はしります
 ふゆえきを しゅっぱつしました

 ガタン ゴトン
 ガタン ゴトン

 まふゆえきに つきました
 しろくまくんが のってきました
 まっ白いコートをきて 赤いマフラーをまいています

 ガタン ゴトン
 ガタン ゴトン

 しろくまくんは まどのそとをながめています
 そとは・・・

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ピルケース少年プリズナーズ

17/03/25 コメント:7件 クナリ

 僕が遠くの高校への通学に使っている単線の始発電車は、僕以外ほとんど乗客がいない。
 一人で静かな空間を占拠している感覚は悪くはなかったが、乗り継ぎ駅であるこの路線の終点までの数十分は、少々退屈でもあった。
 冬のある日、カーブの際に座面に置いていた手が滑り、背もたれと座面の合わせ目に突っ込んだ。すると、指先に何かの紙が触れた。
 引っ張り出してみると、それは無地のメモ用紙だった・・・

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桜車窓

17/03/24 コメント:2件 ナマケモノ

 車窓の外で、桜吹雪が舞っていた。
「春ですねぇ」
 桜の花びらを眺めながら、婦人は口を開く。
 柔らかな陽光が彼女の霧髪と、笑顔を照らしていた。向かいに座る僕は、曖昧に笑ってみせる。僕と婦人しかいない車両には、電車の駆動音が広がるばかりだ。
 突然話しかけられても、どう返していいのやら。それとも、先ほどから婦人を観察していたことがバレてしまったのかもしれない。線路脇に植え・・・

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父と私の在来線帰省

17/03/23 コメント:0件 こあら

新幹線を降り改札を出て目をあげると、父が立っていた。
「あぁ、ありがとう」
私はぼそっと言って、駅の出口へと歩き出す。
「おぉ、佐奈枝。今日はそっちじゃない」
父はオレンジ色の切符を差し出しながら言った。
「今日は在来線で帰るぞ」

父と私は、人気のない車両の四人掛けボックス席に、斜めに向き合う形で座っていた。
私の実家は、新幹線の駅から電車で三十分・・・

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こみさき駅

17/03/23 コメント:0件 甘水 甘

 僕は転勤のため5日前に引越しをした。
 引越し先はとある小さな町だ。大きな都市へのアクセスは少々悪いが、町の人々は優しいし、不便はない。とてもいい町だ。
 しかし、1つだけ気になっていることがある。それは、通勤時に見る謎の駅のことだ。
 僕の職場は今の住居から2駅先にある(本当はもっと近くに部屋を借りたかったけど、何故か今の住居しか借りられなかった)。だから当然仕事に行くために・・・

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すべてのわざには時がある

17/03/23 コメント:0件 ぴっぴ

渋谷で降りようと思っていた。薄氷の下はマグマではないか、それくらいに東京の夏は蒸し暑い。人は汗ばんだ肌をお互い触れないように距離に気を使いながら電車に揺られている。五反田あたりで赤い服を着た若い女の子が隣に座ってきた。札幌では若い男の隣に若い女の子は座りたがらないものだ、しかし東京は気にしないで座ってくる。それが上京した時に感じたことだった。東京では当たり前なのだと思いながらも、恋人のように見られ・・・

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無人電車

17/03/23 コメント:2件 かわ珠

「……は?」
 目が覚めると、周りには誰もいなかった。窓の外は真っ暗で、この電車が今どこを走っているのかわからない。
「寝過ごしちゃったか……」
 大きく伸びをして、頭を掻く。そして、あくびを一つして、ようやく頭が回転し始める。仕事帰りのスーツ姿のままだったせいか、左肩が痛い。今、この電車はどこを走っているのか確認しなければ。ドアの上の車内案内表示に目を向ける。
「あれ……・・・

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Third Car・前日譚

17/03/22 コメント:0件 ツチフル

 斉藤宗二はきちんと整えた白髪と手入れの行き届いた口髭が印象的な紳士で、どんなに空いていてもシートに腰をかけず、三両車の扉から入ってすぐのつり革につかまり六駅間を過ごす。
 若い頃はアカペラバンドに所属し、彼の担当はバスだった。
 腹に響く低音と完璧なピッチは今も健在だが、いかんせん披露する場がない。
 一度、雑誌で募集していたアカペラバンドに参加したが、宗二の完璧なベースは彼ら・・・

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電車デート

17/03/22 コメント:0件 田中あらら

「危険!使用禁止!」の看板のたてられた壊れた吊り橋を渡ろうとする人はいない。それにとっくに見た目にも渡れないことがわかるほど朽ちていた。かつて吊り橋は、隣の村に行く近道であり、それが唯一の道だった。10kmあまり下流に橋ができ、車社会となってからは使われることが少なくなり、朽ちていくままになった。
 下流の橋の横には鉄橋があり、3両編成の黄色い電車が走っている。全線20kmの小さな路線は、旅・・・

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ダイヤ泥棒

17/03/21 コメント:1件 ゆえむ

僕は電車が嫌いだ。

電車はいつも、僕から大事なもの持ち去っていく。僕だけを、このホームに置き去りにして。

幼少の頃、父は単身赴任で僕の元を去った。その後父は直ぐに事故で死んだ。二度と会えることは無かった。
嫌に軽快な音を立てた自動ドアが閉まる。父の笑顔と、僕の泣き顔がドア1枚で隔てられて。あいつは持っていってしまった。僕の大切を。

高校生の頃。大好き・・・

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回想電車

17/03/21 コメント:0件 おかず

 目の前の青年は白くて冷たい手で私の腕を引きながら歩いている。見たことのない寂れた商店街の中をわき目も触れずに進んでいる。私は今、自分の名前を探している。彼岸から此岸に帰るためになくした名前を取り返しに行くのだ。
 ここに来たのは数時間前、電車で寝過ごして車掌に起こされた。降りてみれば見知らぬ廃墟が広がっていた。誰もいない街を彷徨い、おいしそうなにおいに誘われて店に入ったところで彼に会った。・・・

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銀河、大爆発

17/03/20 コメント:0件 ハギムー

 一つ歯車が狂うと運命は連続的にあらぬ方向へ向かってしまう。例えば『電車で絶対女性が隣に座らない』という運命を持った男がここにいる。もし女子高生でも隣に座ろうものならそれは銀河が爆発するほどの運命の狂いだ。
 だから男は電車では絶対に席に座らないと決めていた。銀河が爆発してはいけないと。
 電車が駅に着き一人女性が乗車する。女学生で、男は読んでいる本で視界を覆った。男は学生が苦手であっ・・・

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タヌキ電車

17/03/20 コメント:2件 アシタバ

 通勤ラッシュの喧騒が過ぎたのは数時間前で駅を行き交う人々の足取りはのんびりとしていた。ホームで一人の青年が電車を待っている。青年は先程から近くにいる人々にチラチラと盗み見されていた。
 盗み見は失礼な行為だ。皆、解っている。けど、つい見てしまうのだ。青年はそれ程に見目麗しい。
 ホワイトブロンドの髪の毛、南国の海のような青い瞳、スラリとした身体つき、女性も羨む白い肌である。美形の外国・・・

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再会

17/03/20 コメント:0件 かわ珠

 雨は、止まない。
 車両の窓を叩きながら、水滴は後方へと流れていく。
 1/fゆらぎで走る電車の座席は心地よくて、今にも眠ってしまいそう。まるで歪んだ鏡の中に迷い込んでしまったかのように視界が揺れている。
 そして、夢か現かの境界線上で、私はその言葉を耳にした。
「久し振りだね」
 と。
 とても優しく、穏やかな響き。
 けれども、その声に聞き覚えはなく・・・

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トロイメ・トレイン

17/03/20 コメント:0件 しーた

 彼女は夢を見ている。綺麗で、孤独な夢を。
 真っ暗な、何もない病室。視界の端で、カーテンが静かに揺れている。首を向けると窓が開いている。のっそり起き上がって窓に近づくと、窓の向こうにぼんやりと輝く道が続いている。彼女は一歩、足を踏み出した。
 夜空に向かって道を歩いていく。しばらくして、道は途切れた。眼下には、暗闇の中に広がる見知った街。辺りには輝く星が散りばめられている。吹いた風が・・・

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疑問符の忘れ物

17/03/19 コメント:0件 一ノ瀬 冬霞

  【初恋の欠片】

     【?】

【過去の夢】

        ……etc.



午前一時。終着駅に到着した最終列車が格納庫へ向かう為に動き出した。
それを確認した駅員が駅舎の見回りをしていると、ホームに転がる疑問符の忘れ物【?】を発見した。

(【上司への愚痴】よりはましか……)

苦笑いを浮・・・

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絶滅危惧種

17/03/19 コメント:0件 冷雨

これは、ちょっとした奇話である。

経験した者はいるのでは、と思う。その程度のことだ。
誰しもが経験しているようでしていないようなこと。

誰しもが聞いたことがある“痴漢”
それは下劣な行為であり卑猥であり、犯罪である。
その言葉一つを表そうとするなら低レベルで罪に似通うそれらを連ねるだろう。

強いていうなら犯罪であり、すれば逮捕される。

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「またね」

17/03/19 コメント:2件 ちりぬるを

 周囲の喧噪に掻き消されそうな声で「やっぱりやめようか」と今日子が言い出したのは舞浜の二つ前の駅で止まった時だった。
「水族館にしよう」
 人の間を縫うようにして電車を降りる彼女を慌てて追いながら僕は溜め息をつく。彼女のこういう所が嫌いだった。
 大学を卒業し、地元で就職が決まった彼女とそれをきっかけに別れる事になり、今日が最後の思い出作りのデートだった。あれほど行きたいと言って・・・

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トレイン・マン

17/03/18 コメント:0件 深海映

「あなたの写真はどれ? どうせまた電車なんでしょ」

 板張りの廊下にコツコツとヒールの音を響かせながら妻が笑う。
 私たちがこの小さな美術館に来たわけは、私の撮った写真が地元新聞社の主催する写真展で入賞し展示されることになったから。
 妻も写真を趣味としていて電車を撮ることもあるのだが、私みたいに電車を主役にするのではなく、主役はあくまで空や山や田園風景。
 電車は・・・

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21時半の電車に乗って帰って来てよ

17/03/17 コメント:0件 せんさく

21時、携帯の液晶画面に「1件のメッセージがあります」と表示される。
私は家事の手を止めてメッセージを開く。
そこには短く「今日も遅くなります。」とだけ書いてあった。

「定時に上がりやすいらしいから。」
学生だった頃の彼はそう言って今の会社に決めた。家から近いというのも理由の1つだったのだろう。
しかし、現実というのはそう甘くはないもので、彼は今日も残業をして・・・

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騎士くんと電車女

17/03/17 コメント:0件 氷室 エヌ

 平日、朝八時五分。東京方面行きの電車には、当然ながら人が多い。俺が毎朝乗るのは二号車で――あいつがよく乗るのも、何故か二号車だ。
 いつものように満員の車内に滑り込み、教科書を詰め込んだリュックサックを人の迷惑にならないように足下に置く。駅を数個過ぎれば、視界に入ってくるのは人の背中や後頭部のみという状況になってしまった。
「……い、おーい。騎士くん」
 ふと、誰かが俺のことを・・・

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田園都市線は過激に走る!

17/03/17 コメント:2件 ちほ

 田舎から上京してきた私は『田園都市線』をなんと牧歌的な路線名だろうと思っていたが、現実は……なんというか……まぁ、読んでいただければお分かりいただけるでしょう。

「な……何でこんなに混んでるの?! 何かあったの?」
「うるさいぞ!」
 隣の若い男が声を荒らげる。
 私は、身体の左右を人の壁で固められ、少しも動けない。蒸し暑く濁った空気が滞る空間が、私を苛立たせる。・・・

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初乗り運賃の旅

17/03/16 コメント:0件 風宮 雅俊

 朝の六時半、自動券売機の百四十円のボタンを押すと切符とおつりの六十円が出て来た。そして、自動改札を抜けると目的の駅の逆方向に行く電車が来るのを待った。

 今日から新中学一年生、何年も待った中学一年生。母さんとの約束だった、『大人になったら』の夢が今日叶うんだ。お弁当は持った。水筒も持った。今日の為に調べておいた電車の時間を書いた紙も持った。

 直ぐに、下り電車がホーム・・・

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真夏の電車の夢

17/03/16 コメント:0件 笹山美保乃

 将来の夢は――――だ。
 学校の宿題は「将来の夢」と言う題材で作文を書けというもので、僕は眼を輝かせながら何枚もの原稿用紙に夢を書き連ねた。将来の自分を想像しては顔をほころばせて、無邪気にクスクス笑った。そろそろあいつらが来る頃だろう。僕は鉛筆を学習机の上に放って、家を飛び出した。
 舗装もされていない、砂利道だらけの夏の坂道を自転車で下る。汗で貼りつくシャツの感触を拭うように、快い・・・

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額縁の向こう

17/03/16 コメント:0件 だらけネコ

カチッと小さな音が響く。

パイプ椅子に座って小説を読みながらパソコンを睨み付けている彼をチラリ、伺う。
パソコンの周りにはL判の写真が幾つも散らばっている。

「ねぇ。」
「なぁーにー?」

印刷機とパソコンをいじりながら、彼は間延びした声で返事をする。

「君の写真は、電車とかばかりだね。」
「そりゃー、好きですから?」
・・・

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終着駅は始発駅でもある

17/03/16 コメント:0件 海見みみみ

 ゴロウが目覚めるとそこは大きな駅でした。たくさんの電車が走っています。しかしただの電車ではありません。電車は空を飛んでいました。
「あ、ああ?」
 ゴロウは死んだようににごった目をしながら、絵具のついた顔をこすりました。
 美術部から逃げだし、テキトーな電車に乗ったところまでは覚えています。しかしその間の記憶がぬけ、気づくとゴロウはこの不思議な駅に立っていました。

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虹のふもとで待ってる

17/03/15 コメント:0件 家永真早

 重く動かなかった私の体は軽くなり、見えなかった目も聞こえなかった耳もすっかり良くなった。
 私は、ひとつの風呂敷包みを抱えていた。中には滅多に食べられなかったシーバと缶詰とささみとかつおぶしにカニカマスライス、それからマタタビ、水が入っていた。今すぐに食べたかったけど、まだ今は食べちゃいけない気がして我慢した。私だって我慢ができるのだよ。
 私は後ろ足だけで立ち上がった。今ならどんな・・・

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誰も知らないぼくときみ

17/03/15 コメント:0件 黒丞

カタンカタンと揺れる車窓から、今日も青い空が透けて見えた。どうにも眠い午後2時の気怠げな雰囲気漂う車内には今日もぼくときみ以外存在しない。またひとつ枕木を超えたのだろう、カタンと電車が音を立てた。ぼくときみの間に会話は存在しない。ただ静かに静かに時間が流れるだけだ。
そもそもぼくはきみがどこの誰かも知らない。たまたまいつも同じ時間の同じ電車に乗っている女の子、という全く物語もはじまりそうにな・・・

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見栄

17/03/15 コメント:0件 林一

「ちょっとみんな聞いてよ。さっき大学くる時にね、駅のホームでおっさんが捕まってたの。なんでも、電車で女子高生に痴漢したらしいわよ。私、高校生の頃よく痴漢されてたからさ、他人事とは思えなくて。頭にきちゃったわよ」
「え―マジで。私も高校生の頃よく痴漢されてたから、その気持ちわかる。ホントそういう奴許せないわよね」
「私も高校生の頃、よく痴漢されたわ。男って最低よね」
「私も私も。十・・・

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永遠の青いレール

17/03/15 コメント:2件 まー

 別れ際、ソラはお父さんとお母さんから数えきれないほどの青いレールを渡されました。それはもう、海の砂粒や夜空に浮かぶ星の海と同じくらいの数の沢山のレールでした。
「いいかい、これを全部まっすぐに繋げることができたらまた会えるからね」
 お父さんが言いましたが、ソラは不思議に思って尋ねました。
「電車はないの」
「電車はないよ。電車があったらレールの上を走らなければならなくな・・・

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さよなら、またね

17/03/14 コメント:0件 家永真早

「ありがとね、送ってもらって。兄ちゃんによろしく言っておいて」
「うん。街に出るついでだって言ってたけど」
「こんな早くからどこに行くのさ」
「だよね」
 朝8時、新幹線の停まるホームで、優月と紗菜は顔を見合わせて苦笑した。
 3月、卒業式の一週間後。優月は進学のために東京へと出て行く。
 空気はまだ冷たく、二人は日の当たる場所を選んで立っていた。吐き出す息はも・・・

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汽車の時代を経て電車へ

17/03/14 コメント:0件 笹峰霧子

 私は現在地元でレールの上を走っている乗り物を電車と呼ぶことに抵抗を感じ、かつ照れくさいという思いを持っている。なぜなら物心ついた時点で乗っていたものは汽車という名前でインプットされているからです。汽車を電車と呼ぶようになったのはいつ頃なのか定かではありません。
 汽車には沢山の思い出があるけれど電車は都会を走る交通機関として理解してきたので、大人になるまで滅多に行かない都会の電車は他所様の・・・

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車窓のおじさん

17/03/14 コメント:3件 むろいち

 電車が川に架かった陸橋を通過する。
 土手の菜の花が満開だ。
 僕の通勤列車から見える景色。
 それは、朝ならば駅に間も無く到着の合図。夜は家路を急ぐ気持ちに拍車をかける象徴。
 これを毎日繰り返している。
 お馴染みの川。
 しかし、一度も降り立ったことはない。
 散歩でもすれば気持ち良さそうだけど、出勤途中にはできない。
 かといって休みの日に・・・

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遅れた理由

17/03/14 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

 この大事件のきっかけは、ほんの些細なことだった。
 就職した会社に出勤するため僕はその朝、駅で電車をまっていた。
 はじめての会社勤めとあって、ちょっぴり僕はハイになっていた。
 やがて、駅に電車が入ってきた。一番後ろにいた僕は、これから毎日お世話になるそのシルバーグレーの車体を、まじまじとながめた。
 電車は停まり、車掌室から車掌が頭をつきだした。美貌の女性車掌だった。・・・

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ある最終電車でのハプニング

17/03/14 コメント:2件 空 佳吹

その日、僕は残業の後で仮眠をしてしまったために、終電で帰るハメになってしまった……。
二十三歳の独身で、中古マンションに一人暮しだから、どうというコトもないのだけれど……。

会社から十分のK駅は始発駅で、僕が乗った電車は、進行方向に向いて二人用の座席が並ぶタイプだった。
僕は末端の窓際に座り、スマホでゲームをしていた。

すると近くから乗った人が、僕の隣に座っ・・・

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通勤電車

17/03/14 コメント:0件 家永真早

 通勤時間の長い湯本は、いつも決まった始発電車に乗った。6時54分発、4両目、進行方向右側、先頭の長座席、ドア寄り。
 自宅の最寄り駅からの乗客は少なくないが、立っている客はほとんどいない。
 湯本は、通勤時間を概ね睡眠に充てた。降車駅近くに目を覚ますと、いつの間にか車内は混んでいる。8時10分を少し過ぎた頃。次の駅は乗客の入れ替わりが激しい。湯本の降車駅はもう少し先だ。
 運転・・・

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夜光列車

17/03/13 コメント:0件 七瀬

「次の列車が、きっと今年最後の夜光列車になるだろうけど、君は乗るのかい」
 駅の待合室でぼーっとしていると、駅員さんからそう尋ねられた。もうすっかり夜も更けてしまって、部屋の中には私しかいなくなっていた。時計を見て、それから時刻表に目を移す。終電はすでに行ってしまっていた。
「今年最後の、ですか」
「ああ、天気予報によると、明日からずっと曇りか雨の日が続くらしい。さて、どうするん・・・

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新しい刑罰

17/03/13 コメント:0件 戸松有葉

 電車の座席に腰掛けると、ここまで男を連れてきた者たちは立ち去ってしまった。
 久しぶりに拘束具も檻もなく、自由に動ける。とはいえ、車内限定だ。電車の扉は閉められ、すでに動き出しているのだから。
 電車内にはその男一人しかいない。一人というのは本当に一人で、運転も完全自動だ。あるのは監視カメラの目くらいであり、それを通して他者からの干渉を受けている。
 この電車内で、犯した罪を償・・・

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別れのタイミング

17/03/13 コメント:2件 戸松有葉

 中学生の少年少女が、別れの時を迎えていた。少女は電車に乗っており、少年はホームに立っている。少女が遠くの地に引っ越すのだ。
 互いに、淡い恋心を抱いていた。告白はしていないが、通じ合ってはいた。引っ越し先は遠い。連絡は取る予定だが、実際にどうなるかは誰にもわからない。
 出発時刻だ。
 少女は泣きそうになるのを堪え、また少年のほうも笑顔を作って見送る。
 電車が、動き出す・・・

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電車に出会いを求めるのは間違っているだろうか

17/03/13 コメント:0件 戸松有葉

 無茶な痴漢冤罪が蔓延する中、本物の痴漢は減っていない。そんな被害女性を颯爽と助ける男……王道な出会いではないか。俺は機会に備え、電車に乗っていた。
 すると早速痴漢が。
「やめろ! やめないと、私がお前に痴漢に遭ったと通報する!」
 痴漢に遭っているところを、女性に助けられた。

(了)
・・・

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兄弟からのプレゼント

17/03/13 コメント:8件 石蕗亮

 その電車は真っ暗な中を走っていた。
外の景色はよく見えない。
停車駅のアナウンスは無く、時折停まっては誰かが降り、誰かが乗ってきた。
不思議なことに一度に乗り降りする人数は何故か1人が多かった。
車掌が電車内を歩いており、誰かの前で立ち止まると「次で降りますよ」と声をかけていた。
大抵の人は素直に指定の駅で降りていたが、中には降りない人もいた。
しかしふと気が・・・

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