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  2. 第127回 時空モノガタリ文学賞 【 新宿 】

第127回 時空モノガタリ文学賞 【 新宿 】

今回のテーマは【新宿】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2017/03/13

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2017/01/16〜2017/02/13
投稿数 65 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評 今回は第一回のお題と同じ、「新宿」がテーマでしたね。投稿数が三倍近く増えたためもあってか、以前と比べバラエティに富んだ内容となっていたと思います。東京に馴染みのない方にはやはり書きにくいテーマだったかもしれませんが、みなそれなりの工夫をされており、予想以上に面白い作品が多く、楽しませていただきました。気になった点としては(今回に限らないのですが)、主人公の年齢や性別が、後半になるまで、あるいは最後までわからない作品が散見されることです。性別に関しては「私」という一人称の場合には、どうしてもわかりにくくなるので、なんらかの形で説明してあると、読む側としてはありがたいですね。年齢も同様で、小学校高学年と高校生であるのとでは、かなり印象が違ってきてしまいます。読み気の側に立ち、客観的に自作を読み直す作業が必要ではないかと思います。最終選考の『【エッセイ】初めての新宿』は、大阪人としての新宿の印象と、スリ被害にあった時の複雑な気持ちが素直に綴られていて、読みやすく好印象でした。自分が感じたことを単純化せず、良い印象も悪い印象もそのままに、同時に物事に対する俯瞰的な視点も織り交ぜながら記している点がよかったです『早春エール』は、卒業間近の地方の高校の雰囲気と、未知の都会への不安と期待が、早春の柔らかな空気感とともに伝わり爽やかな読後感でした。アダ名から一人一人のキャラクターが端的に想像できるのも良いですね。『夜の蝶』は、新宿で春を売る女性たちの時を超えた繋がりが、読みやすく書かれていたと思います。様々な運命を背負う人間の幸せを求める気持ちは、いつの世も変わらないですね。『新宿の青空』は地味だけれど、さらりと心地のいい小品だと思います。淀橋・四谷などが元々区だったとは知りませんでした。地理史という非常に現実的な話題と、対照的に幻想的なイメージを織り交ぜる手法が、ユニークでした。『新宿女王蟻』は、原始的な本能が露呈する様子に、恐いもの見たさの好奇心を刺激されるところがありました。一人の女を中心とする年齢も様々な男達のコロニーは、新宿の路地裏の、猥雑で土着的なイメージとどこか重なりました。手紙をしたためるかのような二人称の文体の『黄昏』。街の様子の中に生活感と幻想的な雰囲気が共存していて、短いけれど印象的な作品でした。語り手は亡くなった家族か、それとも自分を見つめる彼女自身でしょうか。いずれにせよ、記憶が曖昧な人間を対象とするからこそ、一人称ではなく二人称が効果的だったのではないかと感じます。『桟橋の名を持つバーで』は、仮想現実世界とフェイクの身体というSF的設定を通して、逆説的に新宿という都市の実態と、生身の身体(五感)から滲み出る孤独が表現されていたと思います。期間を置いて開催される同じテーマのコンテストというのは、投稿者の方々やサイト全体の進化を感じられて、なかなか感慨深いものがありました。また次回も期待しております!!

入賞した作品

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水底から一閃

17/02/13 コメント:6件 入江弥彦

 無機質な声が注意事項をアナウンスし、数秒後に座席が大きく上下に揺れた。
 息子が驚いたように息をつめて、孫は小さく悲鳴を上げた。ごうごうと水の音が響いて、窓の外は一気に暗くなる。揺れが収まると、窓の外が照明に映し出される。立ち上がった添乗員が、右手をご覧くださぁい、と甲高い声で私たちにアナウンスした。
 息子からの提案だった。八十歳のお祝いに故郷を見に行くのはどうか、と。私のためとい・・・

1

新宿駅で待ち合わせ

17/02/10 コメント:2件 PineLeaf723

 降車場は巨大な建物の中だった。
 長野発の高速バス。終点は新宿駅のはず。閑散としたフロアに取り残され、やっと私は思い至った。ここ、去年に鳴物入りで完成したターミナルビルだ。
 外へ出ようと階段を下りたが、降りすぎて地下に潜ってしまったらしい。完全に迷い、待ち合わせしている親友に助けを求めた。
『うそ、もう着いたの。何番?』
 見たこともない場所だとLINEに返すと、

2

サヨナラ、新宿

17/02/07 コメント:2件 秋 ひのこ

『今日未明、「未確認飛行物体」が新宿上空に出現。雨のような光線を発射し、およそ1時間に渡り攻撃しました。「未確認飛行物体」の無差別攻撃は、東ヨーロッパのベラルーシ共和国、アフリカのジンバブエ、中国の天津に続き、4件目です』
 厳しい表情で女性キャスターが原稿を読み上げると、隣で夫がうなった。
「なんで日本だけ主要都市やねん。ほかは微妙なとこばっかやのに」
「そんな失礼なこと言いな・・・

5

歌舞伎町クライスト(泣き嘆く人の子らより)

17/01/17 コメント:4件 クナリ

 新宿は歌舞伎町、区役所本庁舎の脇を道なりに行く。
 雑居ビルの二階に、ニューハーフ(以下NH)バー「碧空」はあった。
 店内は和風のショットバーで、店員さんとおしゃべりしながら、焼酎ソムリエの資格を持つ二十六才の若き店長の集めた焼酎だのウイスキーだのを飲む。
 NHと遊ぶというより、気のいい人たちと笑い合うための場所。
 僕が初めてここを訪れたのは、知人がスタッフとして入・・・

11

新宿コロッケ

17/01/16 コメント:4件 深海映

 出張でたまたま新宿に来ていた私は、ふとどこからか漂ってきたコロッケの香ばしい匂いに、昔のことを思い出した。

「東京は観光するには良いが、人の住むところじゃない。ごみごみしていて、人は冷たいし料理はまずい」
 母は常々そんな風に私に言っていたので、私は何となく東京は住みずらいところで、だから大概の人は職場は東京にあっても千葉だとか埼玉に住んでいるのだと思っていた。
 なの・・・

最終選考作品

4

【エッセイ】初めての新宿

17/02/13 コメント:9件 冬垣ひなた

 東京都庁が出来てしばらく後のことだったので、ああ、私が新宿へ足を運んだのは旧世紀末の出来事だったのかと思い出した。
 当時社会人になりたての私の憧れは、東京の名を冠した千葉県のTDLだった。まだ大阪にテーマパークはなく、さらにテレビに映る噂の新都庁の姿を見るにつけ、東京はズルいなあと悔しがったものだ。
 念願のTDL旅行を決行するべく、ついに夜行列車で東京入りした私と友人が、「ついで・・・

3

早春エール

17/02/12 コメント:2件 宮下 倖

 高三も二月になるとほぼ自由登校になる。俺が通うのは東北の田舎にある県立高校だ。週一で登校日が設けられてはいたが、それも強制ではないので、自宅学習を続けたり受験日程関係で登校しないヤツもいる。だから二月下旬の今日の登校日、いつもの五人が集まったのは久々だった。
「なーんか帰んのもったいねえな」
「なんかして遊ぶ? トランプとか?」
「そんなん持って来てねえよ」
 トランプを・・・

4

夜の蝶

17/02/10 コメント:3件 そらの珊瑚

新宿の雑踏の中で、「おねえさん」と声をかけられた。
ふりむけば、年は、そうさねえ、かなりのばあさん。はて、知り合いかねえ。記憶にないが。もとよりばあさんに、ねえさん呼ばわりされる覚えはないのだけれど。
「秋乃です、ずいぶんとご無沙汰してました」
「秋乃? 燕楼の秋乃かえ?」
「わぁ嬉しい。覚えていてくださったんですね」
「もちろんさ。でもあたしが知ってる秋乃の面差しと・・・

1

新宿の青空

17/02/06 コメント:1件 木野 道々草

 新宿の区立図書館から出てきた男性は、外の眩しさに顔をしかめた。
――冬でも晴れの日が多いな。青空が広がっている。
 上京して最初の冬を迎え、男性は空の色に驚いている。北海道出身の彼にとって、冬の空の色とは灰白色だ。
 男性は、仕事のため地名に関する調べ物をしており、休日の今朝は図書館で資料を集めていた。必要な本を借り終えたので、彼は、西新宿の馴染みの喫茶店へと向かった。晴れた外・・・

0

新宿女王蟻

17/01/30 コメント:0件 吉岡 幸一

 新宿には女王蟻と呼ばれる女がいるという。ただの噂にすぎないとは思うが、と友人が前置きした後で語ったところによると、毎夜、大勢の男が女王蟻のもとに集まっては宴を催している場所があるというのだ。
「それって夜のお店で、そこのナンバーワンホステスが女王蟻って呼ばれているとかいうオチじゃないのか」
 僕の受け取り方を嫌悪するように友人は首を振って言葉に力をこめる。
「おまえ、女王なんだ・・・

4

黄昏

17/01/23 コメント:4件 栗山 心

 気が付けばあなたは夕暮れの町を歩いている。さっきまで明るい日差しにあふれていた町は、ぼんやりと輪郭を滲ませ夜の気配を漂わせ始めた。寒い。あなたは自分の腕を抱きしめる。何故上着を着て来なかったのだろう。
 地蔵坂、毘沙門天、見番横丁…。見覚えのある地名だ。しかし坂の多い道をいくら歩いても、あなたは自分の帰る場所が分からない。
 
 横寺町、袖擂坂、箪笥町…。 
 手には何も・・・

5

桟橋の名を持つバーで

17/01/20 コメント:2件 Fujiki

 一見客に敷居の高い店も少なくない中、フランス語で「桟橋」を意味する店名はよそ者でも入りやすそうな印象を与えた。たとえ長年の知己のように受け入れてはくれなくても、桟橋は旅に疲れた船を拒絶しない。遥か彼方から航海を続けてきた船乗りに一時の休息を与えてくれる場所だ。
 店名の書かれたアルミのドアを開け、暗くて狭い階段を上ると二階の入口には古い映画のポスターがベタベタと貼られている。中は五人座れば・・・

投稿済みの記事一覧

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次は数年後

17/02/13 コメント:0件 にぽっくめいきんぐ

 幹事長はモード系で決めてきた。痩せチビに上下で10万は似合っていないが、半ズボンは小学生のようで良かった。「私大から徒歩5分のアパートに熱帯魚と住んでる」等の自慢を聞き流しながら、話を振り、飲み物も注ぐ。親からの仕送りだろう?
 新歓コンパにやって来た入会見込みの1年生は、今日は2人。色白無口な理学科の男の子と、愛想の良い国文学科の男の子。「ウインド」は、体育会系でもヤリサーでもない小規模・・・

3

新宿文壇バー『黄金虫』にて

17/02/13 コメント:3件 冬垣ひなた

 新宿の昼の喧騒を夜に譲る頃、少し古びたネオンに明かりがともる。狭く雑然とした路地に差す煌びやかな光に、くだらない日常から解放されたがる大人たちが、次々と誘い込まれる。今日は馴染みの店か、それとも新規開拓か……。ここに来れば男も女も、酒と肴と噂話に飽きることがないのだった。
 歌舞伎町の一角、店がひしめき合う『新宿ゴールデン街』の赤い文字が眩しい。その片隅で、文壇バー『黄金虫』は今日も営業し・・・

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新宿二丁目のママみたい

17/02/13 コメント:2件 むねすけ

 カラオケBOX「ロバの耳」に四人の幸せな家族がやってくる。今日は東京の大学に通う長男も久方男前ぶら下げて家族に合流。千葉県在住の家族の絆は餅巾着のかんぴょうぐらいに固くほどけない。もしも、おでん中の餅巾着のかんぴょうをほどけるという人がいたら見せて欲しい。その動画を持って一緒にひと稼ぎしましょう。
 長男が東京の大学に通うために家族から離れて、初めての年末。堤下家恒例の忘年会がニギニギしく・・・

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新宿にある縁結びの神社

17/02/13 コメント:1件 欽ちゃん

2017年1月1日
付き合って5年目を迎える彼氏にフラれた

その日、私は彼氏と新宿にある縁結びで有名な神社で初詣をした
深夜でも神社には初詣の参拝者で溢れ返っている

お賽銭を放り投げ(幸せになれますように)と願った
「ねぇ、どんなお願いしたの?」
「お前には幸せになってほしいって」
「うれしい!でも、あなたが幸せにしてよね」
「ごめん・・・

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とらわれる。

17/02/13 コメント:0件 小高まあな

「地縛霊になるなら、どこでがいい?」
 そんな問いかけに、
「前提が嫌なんだけど」
 冷たい言葉が返ってきた。
「気持ちはわかるんだけど、心理テストだから! お遊びだから!」
 空気読んで。
 昼休みの教室、四人でお弁当を食べながらの会話。なんか面白い話ないの? とか言うから、なんとなくネットで見つけた心理テストを提示したらこの扱いよ。
「あたしねー、三浦・・・

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紙婚式

17/02/13 コメント:2件 そらの珊瑚

 夫と新宿Sホテルの最上階にあるフレンチレストランのディナーに来ている。一人二万円はするのに予約はなかなか取りづらいとか。ミシュランの三ツ星を獲った店なんて滅多に来れるもんじゃない。私は年末にバーゲンで買った黒いベルベットのワンピースを着てお洒落してきた。左手の薬指には一粒石のダイヤモンドの婚約指輪。普段はもったいなくて出番はないが、今夜はプラチナの結婚指輪の隣で、間接照明の柔らかな光の中で輝いて・・・

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ここは新宿

17/02/13 コメント:0件 OSM

 男を乗せたタクシーは目的地に到着した。
 運転手に運賃を支払い、後部座席から降りる。ドアが閉まり、タクシーが走り去る。
 周囲を見回す。林立するビルディング。行き交う人々。雑多な音声。
 ああ、ここが新宿なのだな。
 心中で呟いた瞬間、すっ、と過ぎる違和感。
 再び周囲を見回し、気が付いた。
 現在地を示す情報がどこにも見当たらない。
 耳を澄ませる。<・・・

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新宿civil war

17/02/13 コメント:3件 泡沫恋歌

ド―――ンという、耳をつんざく爆音と閃光、爆風で吹っ飛び、その後、ガランガランと建物が倒壊していく音がした。
いったい何が起きたのか分からない。
倒れてきた本の棚とテーブルの隙間に挟まって、かろうじて命拾いをした。
周りは瓦礫に埋まって、あっちこっちに人間のパーツだった肉片が散らばっている。
最初は地震かと思ったが、大きな爆音がして、瞬時に建物を破壊するのは爆弾しかない。も・・・

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私は母を許さない。

17/02/13 コメント:0件 さき

私は母を許さない。
私は母のせいで散々色々な人にバカにされてきた。色々な人に笑われてきた。入学したての時など出会ったばかりの時は必ず笑われた。私は嫌だった。人が嫌いになった。この苦しさは私しかわからない。誰かに打ち明けたかった。でも、誰もわかってくれない悩みだった。私が真剣に相談しても、スルーされたり笑って誤魔化されたりした。私は悲しかった。誰にも打ち明けられなくなった。
私・・・

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あなたの精神鍛えなおします。

17/02/12 コメント:0件 比些志

その店は新宿の大ガードをくぐって西口にむかう路地にひっそりオープンした。
店の名前はなく、ただ『あなたの精神鍛えなおします』という看板だけがぶら下っている。
安藤マミは歌舞伎町での飲み会の帰りに偶然その店の前をとおりかかり、看板の前で足を止めた。
こどものころからずっと精神力が弱いと親や教師に言われ続けた安藤マミにとって、それは心をくすぐる文句だった。
考・・・

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AHOT

17/02/12 コメント:0件 ケイジロウ

 若い男とのすれ違いざま、その華奢な肩が僕にぶつかって来た。僕はふりかえってその男を睨み返した。しかし、もうその男はどこにもいなかった。右から左から後ろから前からひっきりなしに流れ続けるニンゲンにその男はかき消されていた。
 誰か一人くらい知り合いがいてもよさそうだが、次から次へと迫っては離れていくニンゲンの中に僕の知り合いは一人もいなかった。いや、いたとしても、ココでは知り合いではなくなっ・・・

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憧憬

17/02/12 コメント:0件 佐川恭一

 見渡す限り一面の田んぼ。家の庭には小さな畑。お父さんはスクールバスの運転手をしていて、お母さんは親戚の魚屋さんを手伝っている。僕は近くの広い公園で友達と遊んでから、家でひとりでご飯を食べることが多かった。別にそれで良かった。友達と遊ぶのが楽しかったし、お父さんもお母さんも優しかったから。

 中学に上がっても、小学校と変わりばえしないメンツだった。全校生徒は8人だけ。5人は同じ小学校・・・

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あなたの精神鍛えなおします。

17/02/12 コメント:0件 比些志

その店は新宿の大ガードをくぐって西口にむかう路地にひっそりオープンした。
店の名前はなく、ただ『あなたの精神鍛えなおします』という看板だけがぶら下っている。
安藤マミは歌舞伎町での飲み会の帰りに偶然その店の前をとおりかかり、看板の前で足を止めた。
こどものころからずっと精神力が弱いと親や教師に言われ続けた安藤マミにとって、それは心をくすぐる文句だった。
考・・・

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恐怖! 戸山公園

17/02/12 コメント:0件 ぴっぴ

「お前、顔キモいわ」
カメラマンの男が言った。
顔に書いたお経が細かすぎたために、暗闇で目と口だけが際立っている。

「ハイ……僕はですね。深夜二時、新宿の戸山公園に来ています」
人気ユーチューバーになれなければ履歴書に書くことがない三十近い茶髪の男が言った。
「今は暗くて見えないんですけど、あっちに戸山ハイツって団地が建っていて! なんと! 1989年7月に工・・・

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バスタ新宿と石川啄木【エッセイ】

17/02/11 コメント:1件 あずみの白馬

『ふるさとの 訛り懐かし 停車場の 人ごみの中に そを聞きに行く』
 長い東京暮らしで望郷の念に駆られた石川啄木が、故郷・岩手の言葉を聞きたくなり、そこへ向かう列車が発着する上野駅へ向かうという、著名な短歌である。

 しかし今、上野駅へ行っても故郷の訛りを聞くことは難しいだろう。夜行列車は全廃、新幹線も東京駅が起点。上野東京ラインが完成し、ここが始発駅の列車も少なくなってしまっ・・・

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Neo Shinjuku Ward

17/02/11 コメント:0件 みや

新・新宿区マニフェスト
一、全ての新・新宿区民に不安の無い生活を必ずお約束致します。具体的な内容と致しまして新宿区に住民票を移された区民の皆様の住居の確保、仕事の斡旋を必ず実現致します。

一、皆様からは住民税や社会保険の税金をお納めて頂きますが、税金の使い方を明確にしその使い方につきましても、区民の皆様が安心して暮らせる為に・・・

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ハコイリ

17/02/11 コメント:0件 秋 ひのこ

「ツダさんは何故、新宿ばかり撮られるんですか?」
「月並みですけど、僕、生まれも育ちも新宿なんです。いちばんよく知っていて、それなのに街が日々成長するもんだからどんどん知らないことが出てくる。それを追いかけるために、全部知るために、撮ってるようなものです」
 西新宿のニコンサロンで開いた写真展が無事に終わった。新宿を撮り続けるツダの10周年記念展だ。
「ファンです。ツダさんのよう・・・

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新宿清浄大作戦!

17/02/11 コメント:0件 白沢二背

 僕の妹には悪癖が有る。
 其れは、「行くぞ! 小太郎!!」なんて僕を呼ぶ事ではないし、寧ろどちらかと言えば宗教のノリの其れに近い。
 彼女の名前は遠山則子。僕の二つ年下の女の子である。

 或る日妹はズブ濡れの猫を拾って来た。新宿を一人散策中に拾った、という事だったが、生憎と我が家には経済的余裕が無かった。彼女は不貞腐れた様に唾棄すると、だが、其の足で猫を抱え込んでしまっ・・・

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バトン

17/02/10 コメント:0件 つつい つつ

 雑多なビル街をさっきコインランドリーで洗った洗濯物を入れたコンビニのビニール袋を持ってうろつく。ここは夜はネオンの光で煌々と照らされ艶やかな街だが、昼間は人も少なく、薄汚いだけだ。夕方までは誰も来ない八階建ての汚いビルの屋上に勝手に洗濯物を干す。この前道で拾ってきた革張りのイスに座り缶ビールを飲みながら昼寝をする。死ぬときは洗濯物と一緒に自分の首でも吊ってやろうか、なんてぼんやりと考える。

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ひとりだけのあなたを探して

17/02/10 コメント:3件 待井小雨

 これほど人がいるのに、どうしてあの人だけがいないのだろう。
 人の溢れる新宿駅の構内で、私は人の波を見ていた。改札を通る人の顔を、電車に乗る人達の顔を見つめては探す。あの人の顔を。あの人に似た人を。
 担任の先生のお葬式が昨日、あった。白髪の多い頭髪は積み重ねた年月の豊かさを感じさせ、眼鏡の向こうの目尻は優しい皺を刻む。遺影の中の先生も穏やかに微笑んでいた。
 恋をしていたのか・・・

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憧れをこの足に

17/02/10 コメント:0件 かめかめ

 麻美子が嫌い。小さくて可愛い麻美子が嫌い。でも葉月は麻美子の親友。
「いつまでも仲良しでいてね」
 麻美子に言われたら断れない。小さい頃から側にいて麻美子の愛らしさを一番知ってる。
『オズの魔法使い』がすべての始まり。葉月が大好きな絵本。幼稚園のお遊戯会の劇で葉月は自分が主人公のドロシーになると信じてた。だって誰よりずっとドロシーのことをよく知ってたから。けれど主役は麻美子。ふ・・・

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新宿に現れた仙人

17/02/10 コメント:1件 高塚由宇

今朝早く、いきなり小さな不幸が訪れた。

目覚まし時計が鳴らなかったのだ。おかげで俺は予定よりも30分も起きる時間が遅くなってしまった。

それでも急いで身支度をし、地下鉄に乗って新宿へと向かう。途中で一度乗り換え地下鉄に揺られ、30分で新宿駅へ到着。目的の場所に一番近い出口まで、広い新宿駅の中で少し迷ってしまったが、それでもなんとか予定の時間ギリギリには間に合いそうだった・・・

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騒音

17/02/10 コメント:0件 麦食くま

「けっ!うるさい連中だ。その上あの野郎、間違いなく俺に殴るかかろうとしやがった」新宿の繁
華街の外れにある小さなバーで一人不機嫌なのは、新吉という30歳半ばの独身男。このバーは新
吉が最近行きつけの店で、ほぼ毎日通っていたが、店の防音設備が不十分のために深夜になると、
毎日のように「騒音がうるさい」と、近隣からの苦情が多かった。バーのマスターも日々苦慮して
いたが、それを気・・・

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裏階段

17/02/10 コメント:0件 白沢二背

 東京都副都心には、裏階段が有る。
 何時しか誰ともなくささやかれてきた噂である。
 上条律子は事の真相を確かめる為、僕に協力を促してきた。
 裏階段とは、本来非常口や勝手口に中る隠語であったが、2025年、東京に於いて其れは上客のみを通す裏vipルームの様な物だと、推察された。
 上条律子はふと思う。
 副都心と言っても範囲は広域に亙り、今一全容が把握し難い。

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はるかなる高みへ

17/02/09 コメント:0件 霜月秋介

 私には、住む家が無い。いや違う。家ならある。新宿中央公園敷地内に、私が自ら建てた立派な家がある。スーパーから貰ってきたダンボールと、ゴミ箱から漁った割り箸をガムテープを使って組み立てて作った家。今住んでる家はまだ、建ててから二日も経っていない新居だ。以前住んでいた家は二日前の雨風によって、あっけなく全壊してしまった。ちなみに今住んでいるのは十二軒目の新居だ。家を建てるのには、そりゃもう苦労したよ・・・

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その夢を僕は知っている

17/02/09 コメント:1件 ちりぬるを

 仕事帰りに妻に頼まれていた入浴剤を買って東急ハンズを出た。新宿駅の南口に向かう途中で昨日イヤホンが壊れたことを思い出し、ついでに買ってくれば良かったと後悔した。
 いつものようにイヤホンで音楽を聴きながら歩いていたら気が付かなかっただろうが、甲州街道の信号を渡った所で路上ライブをしている女の子がいた。普段なら見向きもしないのに、そこに近づき人だかりの間から演者を覗き見たのは彼女の声に聞き覚・・・

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1/fのゆらぎ

17/02/08 コメント:0件 秋 鈴香

 新宿駅を出たとたん、雨が降り始めた。
 よりによって傘もないこんな時に降らなくてもいいのに。冬だから寒いのは当たり前だが、風のせいか寒いというより刺されるような痛みを感じる。灰色にくすんだ空の下、コートのフードを深く被って私は彼の家へと歩き始めた。
 そう、あの日も雨だった。去年の4月、新宿御苑に桜を見に行った日。彼との初めてのデートで、快晴続きだった桜咲く春の新宿に神様は何故か突然・・・

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ダンジョン『新宿』を攻略せよ!

17/02/07 コメント:0件 蒼樹里緒

 方向音痴のおまえに試練を与えよう――なんて親友の言葉に、まんまとチャレンジ精神を煽られちまった俺も悪いけど。
 ――ここが魔都・東京の大迷宮、新宿駅か……。
 鮮やかなオレンジ色の電車を降りたら、途方に暮れた。立ち止まるだけでも押し流されそうな人波、窮屈なホームや階段、いろんな店があってごちゃごちゃした地下通路。遊園地の迷路系アトラクションのほうが、ずっと楽しめそうだ。
 ズボ・・・

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新宿白昼夢。

17/02/05 コメント:0件 キッド

 冬の午後。柔らかい陽射しが騒々しい街中に降り注ぐ土曜日。
「新宿の皆さ〜〜ん!ギルガ、メッシュ!!」
 巨大な液晶画面に大写しになった眼鏡の男が甲高い声で叫ぶと、横断歩道を歩いている男たちだけがブンっと音がする程勢いよく液晶を見上げた。自分と同じぐらいか、それより年上であろう男たちの群れ。男しかいない街。新宿。アルタ前。ありふれ過ぎているくせに、実際に足を踏み入れる事は稀な場所。

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新宿回顧録

17/02/04 コメント:4件 日向 葵

 私は新宿駅にて迎えを待つことにした。
 プラットホームの末端には、腰ほどの背丈しかない鉄製の柵が一枚、行く手を阻む様に寂しく突っ立っていた。私はそれにもたれ掛かり、煙を肺に溜め、やがてゆっくりと外へと吐き出す。
 夜明け前の駅に木枯らしが吹いた。私は体を震わせ、薄手のコートを身に付けてきたことを後悔する。後悔など疾うに尽くした筈の私であったが、この期に及んで未だ後悔することがあろうと・・・

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華麗なるタエちゃんの料理

17/02/02 コメント:0件 鬼風神GO

 新宿の喧騒からはなれた路地の一角に密かに人気を集める食堂があります。
 その名も、「タエちゃん食堂」。
 夜の八時に開店し朝の五時に閉店するこの店は、残業で疲れたサラリーマン、夜のお仕事をやっている女性、終電を逃した者など様々な人間が訪れます。
 もちろん料理はおいしいのですが、お客さんはタエちゃんの人柄に惹かれて、仕事の愚痴や恋愛相談、果ては転職先についてどの会社がいいのかな・・・

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歌舞伎町リピーター

17/02/01 コメント:0件 本宮晃樹

「それでお兄さんはどんなお仕事されてるんですか」言葉とは裏腹にとても興味があるように聞こえない。「この近くにお勤めなの?」
 ご名答。この近くにお勤めだ。店内は紫煙と酔客の大げさな笑い声に満ちている。刺すような頭痛がしてきた。無理にでも上司の誘いを断るべきだったのだ(当の本人はべつのテーブルで、一回り以上も年下であろう女の子の胸元と会話している)。
「すぐそこのオフィス街で、貿易関係の・・・

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世界旅行

17/01/29 コメント:7件 6丁目の女

「昔はね、普通に腕とか落ちてましたよ」
 勤務先のスーパーに出入りする男性から、物騒な話を聞いた私は肝を冷やしました。
それでなくても私にとって新宿は怖しい場所なのです。それというのも幼い頃、新宿で迷子になったからです。知らない世界に放り出され、もう二度と元の場所には戻れないような絶望感と恐怖に、私はそのとき声を失ったのでした。

 学校へ行くようになってもなかなか友達をつ・・・

0

17/01/27 コメント:0件 りんご◯

白い画用紙に白い絵の具で絵を描いた日、どんな思いで、色を塗っていたんだろう。
どうしてそんなことをしたのか、それ以前に、なんの絵を描いてたのかすら覚えていない。
ただあの時、なにかに取り憑かれたかのように必死に描いていたことだけは覚えている。

キャンパスを脇に抱えて、歩くこと30分。
気づけば、新宿まで来ていた。
交差点の真ん中で、空を見上げると高層ビルよりも・・・

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影と日向の真ん中で

17/01/26 コメント:0件 結簾トラン

 私は驚くほどの田舎のねずみであるから、今回のテーマを拝見した時より大いに悩む次第となった。同じ雷を受けた方も多いのではないかと思う、うふふ同志よ。新宿、新宿。訪れたことはある。だがこの華やかな街を舞台に小話が思い付くほどの知識はない。よって最早今回は実録を綴るしかないと決めて、今ここへ打ち込んでいるところである。実のところ、短い滞在期間だったわりに新宿での出来事は鮮やかに私の胸に焼き付いている。・・・

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新宿で私は恋をした

17/01/26 コメント:0件 笹岡 拓也

私は恋をした。新宿にある会社に向かって歩いていると、ある男性が私に
「落としましたよ」
とハンカチを拾ってくれた。その男性は目元がキリリとしていて鼻はスッと通っている。極め付けは品の良い口もと。私はその男性に一目惚れした。
「ありがとうございます」
私がその言葉を伝えると男性はニコリと笑顔で
「どういたしまして」
と優しいトーンで言って去っていく。名前すら聞き出・・・

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憂鬱と走光性

17/01/26 コメント:0件 いありきうらか

定時をとっくに過ぎた時間に駅を歩く。
どうして新宿駅というのは行きも帰りもこんなに人がいるのだろう。
恐らく上空から見ると、餌に群がるアリのように見えるのだと思う。
上京して3ヶ月になるが、未だにこの人混みと定員オーバーの電車には慣れていない。
朝から怠さの残った体で、鉄の塊に収容され、大量の肉の塊と同じ時間を過ごすと考えると、憂鬱になるのを避けられない。
朝は小型の・・・

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終電夜話

17/01/25 コメント:0件 さくま

 深夜の地下鉄駅構内で、泥酔している男を見た。まだ二十代だろうか、短めに切りそろえた髪に、黒縁のメガネをかけている。
 彼は、地下道の隅に這いつくばり、吐いていた。四つん這いになった彼の手も足も、大きな水たまりのように広がった嘔吐物にすっかり浸かっていて、その異様な光景と異臭に、過ぎゆく通行人たちは白い目を向ける。
 
 時刻はすでに夜中を過ぎた。だが東京メトロの新宿駅は、平日だ・・・

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新宿の歌姫

17/01/25 コメント:1件 緑茶をすする物書き

新宿は豪雨。私の好きな歌手の歌詞だ。
私は幼い時から歌が大好きだった。中学高校とガールズバンドにハマってしまい音楽漬けの毎日を送っていた。月に一回のミニライブや文化祭で人前で歌う高揚感はなんとも言えなかった。幸せが私を包み込んで、もう二度とこの幸せな空間から出たくないと思った。高校3年になってアルバイトに精を出し上京資金を貯め込んだ。もちろん親には内緒である。

卒業してから二ヶ・・・

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いつもの

17/01/24 コメント:0件 りんご◯

終電の3本前。
人はいつもより少しだけ少ない。
少しだけ。
それなのに、この人数を少ないと思うようになったのはいつからだろう。
地元の電車では、終電は日を跨がないし、1両しかない電車はザラである。

あ。
いつもの人。
いつもこの時間のこの車両のこの席に座る人。
でも今日はいつもと少し違う。
眠っているから?
いや。
…どこが・・・

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落ちてゆく新宿

17/01/24 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

俺たちのような宿無しの、段ボール暮らしのそれでなくてもふだんから鼻もひっかけられない者のいうことなんかを、真にうけるものなど誰もいないにちがいない。しかし、これは本当も本当、難しい言葉でいえばリアルというやつなんだ。
そのときは俺と、おなじホームレス仲間のジュンという、名前だけだと若者っぽいが実年齢六十七の男がその出来事を目撃していた。場所は新宿ゴールデン街からほんのちょっといったところだっ・・・

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新宿疑似恋愛

17/01/22 コメント:0件 吉岡 幸一

 愛子がキャバクラ嬢ということくらいわかっている。
 新宿は歌舞伎町、さくら通りの奥にある老舗のキャバクラ店のナンバー2だ。際立った美人ではないが愛嬌があって人懐っこくて人気がある。
 忠雄は警戒し過ぎるくらい警戒したが、不覚にも気付いたときには恋に溺れそうになっていた。
「わたしの彼氏になってくれませんか」
 今夜、愛子は店が終わった後、すし屋で大トロをつまみながら、忠雄・・・

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新宿迷子

17/01/21 コメント:2件 海見みみみ

「新宿はこわい街だからね。手をはなしちゃだめよ」
 そうお母さんは確かに言いました。しかしそれを知っていながら、ジュンはスキを見てわざとお母さんから手をはなします。
「お母さんなんて、大きらいだ」
 聞こえないようにつぶやくと、ジュンは新宿の街中に消えていきました。

 ジュンは一人新宿の街を歩きます。
 自分の暮らす街とは比べ物にならないくらい、たくさんの大人・・・

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1977

17/01/21 コメント:0件 水面 光

私が何を考えようとたぶんこの世界では重要なことではない。だが、誰かが追求しなければ世界の真実は明らかにされないまま終わってしまう。私は心の中で密かに何度も繰り返し叫んだ。「定年までカネを稼ぐことが人生の意味であり価値を生むと心底信じ込んでるブタどもに世界一美しい終焉と始まりを与えてやろう!」──ときは1977年の夏。人間は残念ながら当事者にならねば何も理解できない。なぜそう言えるかは何を隠そうこの・・・

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砕けた夢の拾いかた

17/01/20 コメント:0件 水沢洸

「――――で? 恥ずかしげもなくおめおめと逃げ帰ってきたの?」
「いや、言い方……」
「なにか間違ってる?」
「……間違って、ないです……」
 アルゴは雨に打たれた露草のようにうなだれた。
 夢に破れ十何年かぶりに故郷の村に戻ってきてみれば、幼馴染みだったクランに出会って早々家に連行され、そしてこれまでの経緯を聞きだされておおまかに話したら、これまた見事に豪速球ストレ・・・

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新宿ジュースふたたび

17/01/20 コメント:2件 W・アーム・スープレックス

陽子記憶をまさぐりながら、新宿の街中を移動していた。
この街のどこかに、それは確かにあったのだ。高層ビルの根元に当る部分から、木からゴムの汁を集めるように、滲みだした液体をジュースにして一杯百円で売っていた男がいた。あのとき彼女は、死に場所をもとめて高いビルを探しているあいだに、たまたま男に呼びとめられて、そのコップにみたしたジュースを飲んだのだった。その名も新宿ジュース。飲み終えると、ふし・・・

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新宿の友達

17/01/20 コメント:0件 スタンピード喜多見

 大学生の娘が書道で賞を受賞した。その祝賀会が東京で開催される。祝賀会は午前中で立食パーティのような感じになるらしい。
 どうせなら東京で観光とか買い物をしたい、と娘が言うので私も一緒に東京に行くことにした。
 朝から新幹線で行くとして、午後は娘と東京観光だから、午前中、娘が祝賀会に行っている間の時間をどうするか。一人で観光してもいいのだけれども。
 ふと、県外に行っている末っ子・・・

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憧れの街

17/01/19 コメント:0件 蹴沢缶九郎

『人に好かれる街』とは、どこぞの地域都市再生事業の謳い文句だったが、その逆、『街に好かれる人』というのがあるのも、私は自身の経験で知っている。

その日、私は休日を利用し、田舎から電車を乗り継ぎ、大都会新宿へと遊びにやってきた。私はまず、電車を降りて、駅を利用する人の多さに驚く。人の密度に息苦しさを覚えるが、とはいえ、田舎育ちの自分からすれば、新宿は憧れの土地であり、それぐらいはどう・・・

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丸ノ内ネオン

17/01/18 コメント:4件 デヴォン黒桃


 ――遺書  最愛の妻、依子へ――
 
 まさかコンナ形で真実を告白することになろうとは……済まない、依子。
 依子が妻として、女として駄目だったと云う訳ではない。むしろよくやってくれたと思う。俺は自分の人生が満たされたことに慣れすぎて、刺激を求めてしまった。
 ソレがコンナ結果になるなんて、申し訳ない。
 

 ――最初の出会いは、東京に出張に行・・・

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新宿・裏通り奇談

17/01/17 コメント:0件 空 佳吹

 森本和夫が、その奇妙な店と出合ったのは、梅雨のような、どんより曇った夜だった。
 へこんだ心を元に戻そうと、付近をぶらぶらしていた時だった。彼は、ちょっと特殊な仕事をしているのだが、昨日のイヤな思いが、まだ解消できてなかったのだ。
 そんな時、新宿1丁目の裏で、妙に暗い通りを見付けた。入り口には、特に何も書いてなかった。彼は「ま、いいか……」と歩いていった。
「店っぽいのは何軒・・・

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内藤新宿顛末記

17/01/17 コメント:0件 るうね

 なんでい、おめぇは。
 瓦版の版元?
 内藤新宿廃止の真実を知りたい?
 ご苦労なこったね、どうも。
 ああいいよ、話してやるさ。
 それを公にするかどうかは、おめぇさんの器量次第だ。
 そうさね、あれはもう四年も前、享保三年のことになるのか。
 当時の内藤新宿は宿場としちゃあ新しかったが、その分、勢いがあった。
 旅籠屋や茶屋の数も多く、昼夜問わ・・・

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いざ 新宿へ

17/01/16 コメント:3件 こぐまじゅんこ

し んしんとふりつもる雪

ん − さむい!

じ ゃんぱー を着て リ

ゅ ックサック を背負う

く つくつと おでんが

に える音がする

い えに ずっといたいけど

き ょうのぼくは きのうまでのぼくとは ちがう

た かい 理想をかかげて

い ざ いかん。 東京、新宿へ!・・・

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一番星

17/01/16 コメント:0件 八王子

 誰かが言った。この街はロックだと。
 夜は賑わいを見せる歓楽街、新宿歌舞伎町とはいえ、始発も走らないような時間に街を歩き回る者は少ない。
 夜中から明け方にかけて捨てられたゴミを漁るカラスと、ぶくぶくと太ったネズミ、そしてそいつらに負けないようにゴミを漁るホームレスたちで小さな世界は構築されている。
 世界でも有数の豊かで暮らしやすく、安全を約束された国、日本であっても敷かれた・・・

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