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第126回 時空モノガタリ文学賞 【 304号室 】

今回のテーマは【304号室】です。

恋愛・ちょっといい話・伝説・不思議な話など、
小説・エッセイ等の散文であれば
スタイルは問いません。
体験や事実に基づく必要もありません。

時空モノガタリ賞発表日:2017/02/27

※同一投稿者からのコンテストページへの投稿作品数は2〜3作品程度とさせていただきます。
※R18的な暴力表現・性描写はお控えください。
※二次創作品の投稿はご遠慮ください。
※「極端に短く創作性のない作品」「サイト運営上不適切な内容の作品」は削除対象となりますのでご了承ください。

ステータス 終了
コンテストカテゴリ
投稿期日 2017/01/02〜2017/01/30
投稿数 96 件
賞金 時空モノガタリ文学賞 5000円 ※複数受賞の場合あり
投稿上限文字数 2000
最大投稿数
総評 今回のコンテストも、予想されたとおり限定的なテーマゆえの難しさがあったと思います。テーマに合わせて無理をしたように感じられる作品が散見され、かなり皆さんは苦心されたのだろうなと想像されました。ラストが弱い作品も多かったですね。やはり最後の印象は、作品そのものの印象を左右するものだと思いますし、途中までが良い場合はもったいないと感じました。最終選考の『鍵』は、隠された夫の真意を「隠れ家」としての部屋が体現し、テーマの使い方がうまいと思います。物語運びも最後までスムーズで、部屋の鍵を開けるラストシーンは緊張感がありました。『いつもの部屋』はムダのない緻密な構成が光る作品だと思います。結末はホラーの定番的なものでしょうが、狭い窓を嫌う伏線や、ミスリード的な物語運びが上手く緊張感がありました。『404号室の彼女』は、病院という場所で交差する二人の少女の人生が、「自販機」と「コーラ」という要素を通し爽やかに描かれていたと思います。最後、支障なく作動した自販機は、ホノカだけでなく主人公の明るい未来をも暗示しているかのようでした。『ハブラシくださぁい』は、まとまりがよく読みやすいホラーですね。先が読みたくなるような導入部の一文で、ラストの謎が放置されたままだったのも、無理につじつまを合わせるより、シンプルなこの作品には合っていたと思います。夜中のホテル従業員の仕事にもリアリティがありました。『3,0,4』は、若さゆえの繊細さと不器用さ、相手への共感と恋愛感情が空気感を伴って描かれていたと思います。今まで恋愛がメイン作品の最終選考対象作品は比較的少なかったですが、そうした意味でも印象的でした。『イル・ポスティーノ』は、リアルなイタリアの郵便事情がユーモラスですね。焦る主人公とは対比的な郵便局員達の反応がユーモラスで、実体験かと思われるような詳細な内容だと思いました。文章自体も巧みで、一つ一つ言葉が選ばれた印象です。『喪失』は、病室で偶然出会った少女との不思議な関係だけに終わらず、彼女の存在を通して硬直化した母への思いが変化し、奥底に眠っていた感情が顕在化していく後半の展開に、深みがあったと思います。今コンテストでは、先に述べたように難しさを感じた一方、限定的なテーマであるからこそのチャンスもあったと思います。過去を振り返ってみても、このような限定的テーマの場合の方が、入賞経験の少ない作者が最終選考以上に残ることが多かったですが、やはり今回もそうでしたね。選考させていただく側としても、新しい作者の良い作品に触れられるのはやはり嬉しく、こうした難しいテーマこそ経験の浅い作者にも頑張っていただきたいと思います。次回も期待しております。

入賞した作品

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304号室は死産0

17/01/31 コメント:12件 むねすけ

 宿題が出た。
 作文の宿題。
 お仕事インタビューだって。
 大人にお仕事の内容について質問して来るんだってさ。
 答えがひとつじゃない宿題は、センスで順位が決まるから僕は好きだ。
 僕の父さんはビールメーカーの宣伝マン。
 僕の母さんは薬局の店員さん。
 つまんない。センスゼロだ。
 こんな時は変わりものの親戚に頼るに限る。
 僕の伯母さん・・・

4

開かれた世界

17/01/22 コメント:2件 つつい つつ

 土曜日の夕方、誰かがアパートのドアを叩いた。今まで突然部屋を訪ねてきた人なんかいないし、そもそも友達にも会社の同僚にもアパートの場所は教えていない。新聞か宗教の勧誘だろうとしばらく無視していたけど、あまりにしつこく叩き続けるからドアを開けた。
「隣の三〇五号室の柏木です」
 たまにすれ違う三〇代の痩せこけて貧相な男が立っていた。
「あの、壁に穴を開けてしまって」
 そう言・・・

4

三線を弾く部屋

17/01/16 コメント:2件 Fujiki

 出版社を辞めて県庁で働き始めてから和馬はモノレール通勤になった。電車も地下鉄もないこの島では一路線しかないモノレールが唯一の鉄道である。バスよりも正確に運行し、渋滞に巻き込まれる心配もない。家がある丘の上からは二十分で職場に着く。
 モノレールの中で和馬は毎朝車両の右側を向いて立つ。帰りは左側に体を向ける。自宅の最寄駅が終点なので朝は席が空いているが、あえて座らない。車窓から朝夕同じアパー・・・

4

ジャジャジャジャーン!

17/01/12 コメント:3件 ちりぬるを

 引っ越しを機に捨てようと思っていたコンバースに一度足を通してすぐにまた脱いだ。全ての荷物を運び、掃除を終えた五年間住み慣れた部屋を最後にもう一度目に焼き付けておきたかったからだ。
 一通り思い出に浸った後、以前ソファの置いてあった床に大の字に寝転がって天井を眺める。これから鍵を返し、転居先の片付けをして、その前に市役所に行こうか、などと考えているとチャイムが鳴った。面倒だなと思いながら起き・・・

5

可能性探偵の迷宮推理

17/01/02 コメント:2件 浅月庵

 とあるアパートの一室で、一人の男性が殺された。
 死因は、包丁により腹部を刺されての出血多量によるものだ。
 助手である私は、探偵のハガナイさんと共に、早速現場へと急行した。

「ダイイングメッセージかな」
 ハガナイさんは遺体の元へ屈み、そう呟く。
「私には、数字の304に見えます。304号室の人が犯人ですよ!」
 遺体の指先で床に書かれた、自身の血に・・・

最終選考作品

5

17/01/31 コメント:8件 泡沫恋歌

 先ほどから鍵穴を睨んでいる。
 手に鍵を持ったまま、私は304号室を開けるべきか迷っていた。
 この部屋の中に何があるのか分からない。それを知りたいと思う好奇心と、見るのが怖いという、二つの考えがせめぎ合っている。
 夫の秘密を知ることは、妻の権利だといえるだろうか?

 私たちは銀婚式をとうに過ぎた夫婦だった。
 子供は二人いる、長女は結婚して来年初孫が生ま・・・

5

いつもの部屋

17/01/30 コメント:2件 黒谷丹鵺

またこの部屋か――男は上着を脱いでベッドに腰かけた。
この街に出張する時の定宿は、駅から徒歩5分の小さなホテルだ。
初めて泊まった時から、男はなぜか決まって304号室に通される。チェックインが早くても遅くてもいつも同じ部屋を用意される。
ごく普通のシングルルームで、窓からは向かいのホテルが見える。
あちらは大手チェーン系列のホテルで、サービスなども行き届いているのだろうが、・・・

4

404号室の彼女

17/01/30 コメント:4件 そらの珊瑚

コインを入れたのに、コーラは出てこない。
「あれっ?」
ボタンをがちゃがちゃ押す。
「そんなんじゃダメだよ」
そばにいた女の子が自動販売機の真ん中あたり手で強くたたいた。次の瞬間、自販機はコーラを吐き出した。
「あ、ありがとう。手、大丈夫?」
私はコーラを取り出す。
彼女は
「うん。いつものことだから。この自販機、壊れかけなの。だからショック療法」<・・・

7

ハブラシくださぁい

17/01/21 コメント:9件 霜月秋介

 あるはずの無いものと、起こるはずのない出来事。
 あの夜、僕が体験したのは、まさにそれだった。



「おい星野!みろよ、このネクタイピン。昨日俺の彼女がプレゼントしてくれたんだぜ」
 そういって松尾さんは、僕にネクタイピンを見せびらかしてきた。
「そうなんですか、似合ってますよ」
 僕はありきたりな感想を述べた。既に深夜〇時をまわり、睡魔が襲って・・・

11

3、0、4

17/01/16 コメント:11件 タキ

バイトの後輩の子は、妥協を知らない猛烈な働きぶりと隙の無さで、バイト仲間から【マシーン】と陰で呼ばれていた。いつも無表情だったせいもある。でも僕は納得がいかなかった。頑張って働いているだけなのに、からかわれるなんて間違ってる。

ある時、後輩の様子がおかしい日があった。ずっとうわの空で、つまらないミスを連発した。「マシーン、故障かな?」と他の連中は意地悪にささやきあった。後輩がバイトを・・・

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イル・ポスティーノ

17/01/14 コメント:4件 ぴっぴ

以前住んでいたイタリアは、ヨーロッパの中でも屈指の郵便システムの血栓地帯だった。
場所によっては午前中か、遅くとも午後二時には終わってしまうのが普通の郵便局の中、ローマの郵便局は午後七時まで開いていた。
郵便局の窓口係は三つあり、その一つに初老の男性が不愉快そうな顔をして座っている。彼の態度はまるで郵便物を憎んでいるかの様だった。窓口に立つ人々が口々に苦情をぶつけるからなのかもしれない・・・

3

喪失

17/01/02 コメント:3件 深海映

「ケータくん!」
 304号室のドアを開けると、あやみが腕に飛び込んできた。
「良かったあ。あんまり遅いから今日はもう来ないのかと」
 泣きじゃくるあやみの、すこしぺったんこになった黒い髪を撫でてやる。
 そうしてベッドの横に腰掛け、僕たちは職場であった面白い話やペットの犬の話、テレビの話なんかをして過ごす。

 入院した彼女を甲斐甲斐しく毎日見舞いに来る彼氏。・・・

投稿済みの記事一覧

4

大字番号札に隠された意味

17/01/31 コメント:0件 石蕗亮

 「なぁ、そこの窓開けてくれよ。開けてくれたら俺、出ていくからさぁ」
耳元で知らない男が囁いている。
しかも息が耳にかかっているのが判る。
かなり近い。
「なぁ、頼むから窓開けてくれよぉ」
男は何度も耳に息を吹きかけるかのように囁く。
そのうち耳を舐められたり齧られたりしないだろうかと怖い想像をしてしまう。
いや、今のこの状況もかなり怖いものではあるのだが・・・

0

304 Not Modified

17/01/31 コメント:0件 .

 皆さん初めまして。徹子の部屋ならぬ304の部屋です。交通整理が仕事です。最近の悩みは煙草が増えてきたことと、404のやつがやたら表に出ているのが目につくこと。
 そう、404です。とにかくムカつくんですよアイツ!
 こっちが裏方で働いているから404も表に出ていけるというのに、あいつ最近なにを勘違いしたのかしゃしゃり出はじめましてね。アイドル気取りなんです。殺風景で淡々としていた頃に・・・

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304

17/01/31 コメント:2件 .

「17-29」
「ああ、車のナンバープレートか。ちょうどタクシー数だね」
「タクシー数?」
「今から百年ほど前、ラマヌジャンという魔術師みたいな数学者がいたんだ。その人が見つけた数字の一つとして、1729は有名なんだ」
「1729が? 中途半端な数に見えるよ」
「そうかも知れないね。実際そう考える人の方が多かった。でもラマヌジャンは、この数字は非常に興味深いと言ったん・・・

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桜のように僕は

17/01/31 コメント:0件 あやと穂月

桜を見ていた。
304号室の窓からだ。
薄く開けられたらそれは左にまとめた白いカーテンをわずかに揺らすだけで、ベッドで身を起こす僕にまでは届かない。
けれど確実に桜を散らす。
ヒラヒラと気ままに落ちていく様を、僕はずっと窓から見ていた。
視界の片隅に点滴が映る。
ポタリ……、ポタリ……と一定の間隔で落ちていく。
その規則正しさと桜の自由さが生み出すわずかな・・・

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凍える幻

17/01/31 コメント:4件 冬垣ひなた

 私の心がひび割れた瞬間だった。
『娘・鳥嶋カレンの心境はいかがなものでしょうか?』
『はっきり言って旬の過ぎた女優ですがね。今後の仕事にどう影響が出るか……』
 チャンネルを変えても、憐憫に毒の混じった、私たち母娘の風評がひっきりなしに流れている。私はテレビを消し、座っていたベッドの上に身を投げ出した。
 数十年行方知れずだった母は、一昨日から殺人事件の容疑者となっていた・・・

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顔のない隣人

17/01/31 コメント:0件 野々小花

 午前0時になると、隣人はベランダで煙草を吸う。壁の薄いマンション。窓を開けてベランダに出たな、と気配でわかる。私も追いかけるようにしてベランダへ出る。安物のサンダルを履き、脇に置かれたほうきを手に取る。
 カチッとライターの音がして、すぐに煙のにおいが夜の風に混ざって流れてきた。冬のつめたい空気と一緒に、肺の中に入ってくる。むせそうになるのをこらえ、私は乱暴な手つきで掃除を始める。ザッザッ・・・

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虚構の人間は箱庭で踊る

17/01/31 コメント:1件 日向 葵

 郵便受けの錆びた金具が軋む音が私の部屋に響いた。
 安アパートの一角にある朽ちかけた木扉に備え付けられた、手が入るか入らないか程度の厚みしかないその長方形の郵便受けが僅かに開き、一枚の手紙がストンと落ちる。
 四畳半の小部屋に寝転んで、天井からぶら下がった裸電球が発する頼りない光を眺めていた私は重い腰を上げた。

『初めまして、こんにちは。誰かおりますでしょうか? 507・・・

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小さな音楽会

17/01/30 コメント:0件 沓屋南実

 私が304号室の荒木の妹さんを最初に見たのは、葬儀会場だった。同じマンションの老夫婦の奥さんが亡くなったので、喪服を着てまだ履きなれない27センチの皮靴を履いて参列した。
 妹さんは葬儀に似つかわしくない、きらびやかな曲を弾いていた。何でも、故人が好きだった、ショパンの「華麗なるワルツ」と誰かが教えてくれた。
 それにしても、上半身を揺らして演奏する姿は、違和感がある。それに、なぜ三・・・

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システム

17/01/30 コメント:0件 OSM

 自室に女を監禁してまだ三日目だが、早くも嫌気が差してきた。下の世話をするのが苦痛。この一言に尽きる。俺が自作した拘束器具・『監禁くん一号』はその巨大さ故に、我が304号室のトイレには入らない。だから仕方なくおまるに排泄させ、俺が中身を捨てている。早い話が、下の世話をしてもらう代わりに下の世話をしているわけで、これではなんのために監禁したのか分からない。自分の糞の処理くらい自分でしてもらいたいとこ・・・

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ギジベヤ

17/01/30 コメント:0件 宮下 倖

 大変申し訳ありませんお客さま、304号室はあいにく予約で埋まっておりまして……。
 平坦な声でそう言うと中年の男が慇懃に頭を下げた。いつも通り、一言一句違わず淀みない台詞である。ハルオは苛々と受付カウンターに身を乗り出した。
「三十分……いや十分でいい。ナツミと話したい。会わせてくれ」
「……ではナツミ本人に訊いてまいります。そのままここでお待ちください」
 男は恭しく一・・・

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出るんですよ。

17/01/30 コメント:0件 小高まあな

「家賃、安いっすね」
 グリーンハイツ304号室を内見していた俺は、隣の不動産屋にそう尋ねた。
 最初店で値段を聞いた時はすっごいボロいのかと思ってたけどそんなことないし、駅からも近いし、周りに飲食店も多いし。夢を追って上京してきた、俺みたいな貧乏人の若者には破格の条件だ。
「やっぱ、あれっすか?」
 軽い調子で問いかけると、
「ええ、まあ」
 不動産屋は曖昧な・・・

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局所フリーマンション304号室に夢はあるか

17/01/30 コメント:0件 むねすけ

 時代を残した薄暗いアパートは、埋められていく青すぎる空を、整列するマンションにのさばられて日照権の主張も倦怠な日常に呑まれていく。こんな時代に残った粘り腰のアパートメント、世情の寒風にもうっちゃりの一手で居残り。
 そんなアパートには少々奇妙な人間が流されて来るようで、一室に三人の男が望まない同棲生活を送っている。「階段上るの面倒だろ」の言葉と、「いや不用心だろそれは、二階があるならそっち・・・

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鳥と男

17/01/29 コメント:0件 木野 道々草

 ある緑に囲まれた住宅街に、野鳥と触れ合うことをコンセプトにしたアパートがある。広い敷地内にイチジクの木が植えられ、鳥がその実を食べにやってくる。住人はベランダに餌台を置き、一年中鳥の声が絶えない。
 三階に住んでいた一人暮らしの男も、餌台を作りみかんを置いていた。彼は、餌台にビデオカメラとマイクも取り付けて、いつもやってくる三羽の小鳥たちの「興味深い」鳴き方を観察していた。
 八月。・・・

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謎解きとビジネスマン

17/01/29 コメント:0件 かめかめ

 まさか、と思った。この薄汚れたホテルで目にするものではあり得なかった。いや、おそらく一生、実物を目にすることはないだろうと思っていた。ルームサービスのワゴンが304号室の前の廊下に鎮座していた。
 糊のきいた白いテーブルクロスが銀色のワゴンにかけられ、その上に真っ白な大きな皿が三枚、小さな皿が二枚、皿の蓋であろうドーム型の銀色のものが三枚重ねて置いてある。
 つまり、こういうことだろ・・・

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深夜の訪問者

17/01/29 コメント:0件 モモユキ

 深夜二時をまわっている。
 大学に入学するために上京し、都内のワンルームマンションの304号室で暮らし始めて、今日が二日目の夜だった。寝付かれず、テレビを観ている。
 ピンポーン。
 インターホンが鳴った。びくっとする。こんな時間に? 誰だろう。
 訪問者に心当たりはない。ぼくの実家は群馬県で、東京に知り合いはほとんどいない。
 ピンポーン。
 こんな夜の夜中・・・

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高橋氏主催のイベントでございます

17/01/29 コメント:0件 たっつみー2

 2棟並ぶ5階建ての高橋ハイツ。その南側正面に公園があり、イベントテントが設置されている。そこで、マイクを手に声を張り上げているのは、御歳64歳の大家さん、高橋氏である。
「さあ、いよいよクライマックスですよ」
 梅から桜へと主役が変わろうとするこの時期、すっかり恒例となったイベントは盛り上がりをみせている。公園に集まった近所の人たちは、月灯りの下、高橋夫婦が無料配布したお汁粉を頬張り・・・

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そこに集まりし者が旅立つ時

17/01/29 コメント:2件 たっつみー2

「そのようなものはございません」
病院の受付けで尋ねると、納得の答えが返ってきた。
確かに手にしているチケットにはこの病院名がある。だけど、ここに喫茶店だなんて……。
横にいる夏菜は肩を落としている。
病院にこんな変な名の喫茶店なんて明らかに怪しいのに、彼女はどうしても行くと言いはった。なぜか、あの病院だからこそ行きたいとも。
なんにしても、所詮はどこかの福引で手にし・・・

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304号室への鍵

17/01/29 コメント:2件 みや

一カ月後に結婚式を控えている学生時代からの友人と久しぶりに酒を飲みながら、僕にはどうしても彼に聞きたい事があった。聞きたいと事と言うよりは確認したい事と言った方が正しいのだけれど。

「いよいよ結婚式だな。僕達も来年は三十路だし、結婚するには良い時期かもしれないな」
いきなり本題に入るのもアレなのでまずは差し障りの無い話題から。
「だよな、もう30だよ。大学卒業して就職して・・・

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彼の〈304〉

17/01/29 コメント:3件 光石七

 菅の提案に藍田は感心したように頷いた。
「北欧調の中にオリエンタルテイストを混ぜ込む、か。なるほど」
「暖炉を活かしつつ、ありきたりな構図は回避できるかと」
 藍田は食品加工会社の社長、菅は家具やインテリアのレンタル会社の社員だ。前任者から藍田の会社とのリース契約の担当を引き継いで二年、菅は定期的に藍田のもとを訪れている。だが、今回の呼び出しはいつもとは違う。
「別荘をペ・・・

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304号室の鍵

17/01/29 コメント:0件 麦食くま

「今日は大きな町に戻る日か、帰る前に地元の海でも見ていこう」そうつぶやいた光雄は、宿泊し
ていた304号室のホテルを後にした。光雄は一人この異国の地に旅に来ていた。拠点となるその国
の首都のホテルで大きな荷物を預かってもらい、小さなかばんひとつで、5日間地方の町を旅して
いた最終日の朝のことである。
お昼前のバスに乗り込んで首都には夕方戻る予定にしていた。
しばらく地・・・

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雛のへや

17/01/28 コメント:4件 待井小雨

 放置されて伸びきった隣家の樹木の枝が差し掛かるビルの三階、三部屋ある内の角部屋に住んでいる。人によっては煩わしいであろうその枝を、切る事もなく放置していた。
 その木に鳥の巣を見つけたのは数日前のこと、雛の鳴き声がするまで間近に生き物の巣があるなど気付かなかった。そっと覗くとまだ羽の未熟な雛が数羽見えた。自分が知らなかっただけで、巣自体は前からあったのかもしれない。ストレスを与えないよう、・・・

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勘違いは恋の始まりの終わり

17/01/28 コメント:2件 miccho

 就職氷河期であったことに加え、就職活動に要求される「器用な立ち回り」スキルなどどこにも持ち合わせていない(おそらく生まれる直前に母親の胎内に置いてきた)僕は、結局100社近くの企業にエントリーする憂き目を見た。
 メールボックスが「ご縁がありませんでした」のメッセージで埋め尽くされ、僕の手元には「戦略的撤退・留年」「一発逆転・小説家」「大穴・専業主夫」など、ろくなカードしか残っていなかった・・・

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ゴキブリの見解

17/01/28 コメント:0件 ケイジロウ

「304号室は、法的に私のものです」303号室が言った。
「304号室は、オラのいとこが昔住んでたから、オラのもんだ」305号室が言った。
「304号室は、アタイが子どもを産んだ部屋だから、アタイのよ」204号室が言った。
「304号室は、オレのもんや。文句あんならかかってこい」404号室が言った。
 303号室は一つため息をつくと、ちゃぶ台の上に一枚の書類を置いた。304・・・

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304号室の成長

17/01/28 コメント:1件 トム

 いつものようにエレベーターに乗り込み、4階のボタンを押した。
その時、リュックを背負った小さな男の子が小走りで乗り込んできた。タイミングはギリギリだったが、何事もなかったかのように扉は静かに閉まった。男の子は2階のボタンを押していた。
 2階に到着し扉が開くと、男の子は右側の通路に消えていった。それを見届けると扉が閉まり、4階へと上昇していった。
そこで何かおかしいことに気が付・・・

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B面に指紋あり

17/01/27 コメント:0件 入江弥彦

 出会い系サイトに本気になるやつなんて、よほど頭が悪いか寂しい人間なのだと思っていた。つい、半年ほど前までは。
 今では出会い系で出会った五つ下の女性にぞっこんだ。派手そうな見た目とは裏腹に丁寧で穏やかな彼女に惹かれたのだ。案外しっかりしていて、頼りにもなる。口も堅くて誠実だ。
 彼女の名前は美紀と言った。独身の会社員。小柄で控えめな笑顔が魅力的な女性だ。少し化粧が濃いようにも思えるが・・・

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母猫の残したもの

17/01/27 コメント:0件 あとら

『忠豊さん、頼まれたもの、持ってきた?』
とあるマンション304号室の前で男女が大荷物を持ってやってきた。
「勿論、出来る男だからね。」
忠豊と呼ばれた男は鍵をゴソゴソと探す。
「あれ、今月の鍵の管理は絵里だったか?」
『今月は忠豊さんよ?』
「そうだったかっと......、おぉ、あったわ。」
どこにでもあるような鍵を、穴に差す。
音を立てずに部屋の・・・

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管理人の業務とは

17/01/26 コメント:0件 PineLeaf723

 そのアパートは二階建てだった。しかも横方向には窓が三つ。つまり三部屋のみ。どう考えても、目指す304号室は存在しない。
「おかしいな」夕暮れに白い息を吐きつつ、俺は看板を二度見する。
 卒業以来、十数年ぶりに中学時代の同級生から年賀状が届いた。『遊びに来ませんか。相談があります』だそうだ。差出人がこいつでなければ、連絡など取らなかったろう。
 手土産のワイン瓶を握り直し、ひとま・・・

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更新されることのない場所

17/01/26 コメント:2件 alone

 俺はまた受話器を取っていた。
 発信音が一定の調子で鳴る。中立的な響きは、誰の味方もしない。
 決めるのは俺自身だ。
 渇望と自責。葛藤を覚えながら、遂にはある番号を押してしまう。
【#304】
 四種類のプッシュ音の後、短い沈黙をはさみ、呼出音が鳴り始める。
 一度目が終わり、二度目の最中、相手が出た。
「ご予約ですか?」
 一方的な問いかけ。俺・・・

1

火星の穴

17/01/26 コメント:0件 待井小雨

 ブラジルの穴、というものがある。地面をどこまでも掘っていくと、地球の裏側のブラジルまで辿り着けると言う話だ。もちろんこれは作り話でどこにもそんな穴は存在しない。
 だが、俺の部屋にはそれ以上の穴がある。
 古びたアパートのじめじめとした和室に住んでいる。敷きっぱなしの布団の下が何やらら湿っぽくかび臭くなったのは夏の頃。そのまま数ヶ月放置していたが、さすがに耐えられなくなってようよう布・・・

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あなたの部屋も・・・。

17/01/22 コメント:0件 カロアミルク

「今度、304号室に越してきた鈴木です。」俺は管理人の女性に声をかけた、彼女は軽くうなづくと奥へさがってしまった。まあいい、鍵は既にもらっているのだから。
そのまま、エレベーターで3階まで上がると、304号室の前に立つ、特に新天地に来たといい感慨はない。中に入ると当たり前だがガランとした空間が待ち受けていた。とりあえず、カップラーメンと洗面用具、寝間着と枕が入ったカバンを下ろす。

0

無限の彼女

17/01/24 コメント:0件 本宮晃樹

 香苗の住まいは四階建てで四部屋の、やけに細長いアパートの三階にある。築十五年も経つ爆破解体前のような建物で、最上階は天気が荒れて強風が吹き荒れるたび、メトロノーム然とした周期的な揺れを観測するというもっぱらのうわさだった。
 彼女は三階の角部屋、三〇五号室にここ数年居ついている(ふつう「四」は縁起が悪いということで避けられる。したがって四部屋あっても角部屋は五号室になる)。
 お付き・・・

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バイバイ、サンキュー。

17/01/25 コメント:0件 芳賀スノキ

今日も突然あいつからの電話。

「時間あるから会いたいんだけど。」
「分かった。行くね。」

通話時間4秒と表示してあるスマホを少し眺めた後、私は支度をし、家を出た。
 
あいつと会うのは決まって下北沢。売れないバンドのメンバーであるあいつは、どこかで見たようなルックスでどこかで聞いたような音楽を奏でている。口癖はいつもそう、

「いつか俺の音・・・

1

赤子の大脳

17/01/24 コメント:1件 緑茶をすする物書き


 冬の寒さで手と足が刀のように凍る日々が続いている季節、私は病室のベットで横になっていた。外を眺めると女子高生が短いスカートで凍えながら下校していたり、小学生達が雪玉を投げつけあったりしていた。病院にいても全く苦痛ではないし不安と興奮が入り混じるような不思議な興奮が私を覆っていた。私のお腹の中には元気な赤ちゃんがいる。ここのところ陣痛の痛みが半端ではなくなってきていて、もうすぐ出産予定日も・・・

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334なんて言わないで

17/01/23 コメント:3件 奈尚

 大学を出て、東京の会社に就職した。
 地元を出るのは初めてだった。右も左も分からない駅で、見た事もない人混みにもまれ。やっとの思いで、借りる予定の格安マンションにたどり着いた頃には、ゼェゼェと肩で息をしていた。
「……304号室」
 管理室で受け取った鍵と、目の前の部屋番号とを見比べる。確かにここだ。値段相応の古ぼけた扉。駅で経験した殺人的な混雑が脳裏に浮かんだ。本当に、ここで・・・

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304号室奇譚

17/01/23 コメント:0件 反町カズキ

「この町に存在する304号室の中には一つだけ、入ることで未来を変えることのできる部屋がある」
この噂を聞いたのは僕が大学四年の頃だった。折しも就活が全く思うようにいかず、半ば自棄を起こしかけていた僕は、空いた時間を使っては町中に存在する304号室を探し回るようになっていた。
僕をこの無意味で無軌道なドアトゥドアの旅は、決して難航する就活からの現実逃避にのみ由来するものではなく、終わりの・・・

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欠けた恋文、七つの伝説

17/01/23 コメント:0件 守谷一郎

恋ヶ峰付属中学校のオンボロ男子寮にはまことしやかに囁かれる七つの都市伝説がある。
一、夜の屋上に女性の幽霊が現れる。
二、向かいの女子寮とは異次元で繋がっている。
三、書きかけの恋文をゴミ箱に捨てると翌朝に完成している。
四、その恋文を本人に渡すと告白は成功する。
五、冬の澄んだ空気の日、窓ガラスに運命の相手が映る。
六、101号室の男子は3年間恋人ができない。・・・

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ハナと名無し

17/01/23 コメント:0件 秋 ひのこ

『あたしを撮ってよ』
 重たい鼻声でハナが言った。
『ねえ、あたしを撮ってよ』
 うるせえな、と男は畳の上で寝返りをうち、ハナに背を向ける。
 ハナはふんと鼻を鳴らし、けだるそうに欠伸をした。
 男は黙って半目を開ける。日焼けして毛羽立ちが目立つ畳に、カップ麺の器や雑誌、空の缶ビールが転がっている。テレビのリモコンも、箱ティッシュも、耳かきも、すべて転がっている。六畳・・・

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304号室の若者と603号室の老人

17/01/23 コメント:0件 いありきうらか

「やあ、また来たよ」
「来なくていい」
「さて、この部屋を渡す気になったか?」

304号室は、見晴らしのいい部屋だった。
顔を右に向けると、中庭の大きな木が見える。桜らしい。今の季節だとただの枯れ木にしか見えない。
爺さんが304号室を訪ねてきたのは入院して、すぐだった。
「私は603号室の者だ」
「…何の用?」
「304号室に移らせてほしい・・・

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304号室の彼女

17/01/22 コメント:2件 歩子

 304号室が僕と彼女のすべてだった。


 友人の見舞いのために訪れた病院で、彼のいる305号室を探していた。301、302……と、壁に取り付けられたプレートで確認しながら、友人の病室を目指す。

『304 桜木咲』

 そのプレートが見えた瞬間、足を止める。桜木咲、という名前に見覚えがあったからだ。まるで芸名のような、春を連想させる美しい名前の並びは、・・・

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地獄の沙汰も金次第

17/01/22 コメント:1件 蒼樹里緒

 大学生活を春に控えた俺は、インターネットで一人部屋物件を探していた。アルバイトをしながら、家賃も親の仕送りなしで払えるところがいい。
 大学最寄駅周辺のアパートを、絞り込み検索する。候補の中で、やけに安い部屋を見つけた。
 部屋の内装写真のひとつに、ふと目が留まる。
 押し入れっぽい暗がりの中に写っているのは――小さな女の子だ。優しそうな笑顔だけど、肌は蒼白いし、目も落ちくぼん・・・

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秘密の扉

17/01/22 コメント:0件 月のワーグマー

私は秘密の扉を知っている。
それは多くの者に開かれているが、知らぬ者にとってはただの重い鉄の扉に過ぎず、どんな秘密を持つかを知ることもない。
気が向けば私はその扉を開く。我が家からは遠いが、それは苦にならない。

その扉は重苦しい音を立てて開かれる。いや実際に重い。軋む音は聞くものを不快にさせ追い払うための罠のようにも思える。しかしその罠は私には効かない。
そう。知る・・・

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愛、知りそめし〜304号室にて

17/01/22 コメント:3件 あずみの白馬

「304号室には、人ならぬものがいる……」
 僕が住むアパートには、こんな噂が流れていた。なんでもあの部屋に入った人間は、決まって行方知れずになると言う。僕はなんとなく興味をひかれたが、積極的に調べようとも思わなかった。だから、自分を見つめる瞳に気づくこともなかった。

 ある日、仕事が終わってアパートに帰ると掲示板に一枚の貼り紙があった。
【急募 家の片付けを手伝ってくれ・・・

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会いに行こうか

17/01/22 コメント:0件 享楓

「304 ゴウ シツ デ マツ」
くしゃくしゃになった、コンビニのレシートに書かれたこれ
は、不定期にポストに入ってこれは彼からの呼び出しだ。
“304号室で待つ”
これは、この街にあるビジネスホテルの部屋の番号。
指示どうり行くと、彼は必ず眩しいくらいの笑顔で出迎えて
くれる。
「さぁ、今日は何して遊ぼうか。」

彼と出会ったのは、高校1年生・・・

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404号室

17/01/22 コメント:2件 上辺 練

「あー。駄目か、くそ」

 つい言葉が口に出る。
 そんな言葉が耳に入ったのか、隣にいた後輩(女性。25才。童顔で小柄だけど巨乳)が聞いてきた。

「どーしたんですか」
「ページが消えてる」

 オレの目の前にあるパソコンのモニターには「404 not found」の文字が表示されている。
 インターネットで検索をかけた時に、そのウェブページが・・・

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大福

17/01/22 コメント:4件 そらの珊瑚

 賃貸の内覧に来ている。

 同行している不動産屋のお兄さんが「すみません、階段きつくないですか?」と云ったが、三階建てにエレベーターがないことこそ、それが良かった。不便などと言ってはいけない。便利な生活は人を怠惰にさせるし、太らせる。そう、階段こそ(それも三階!)ダイエットに最適ではないか。ジムはお金がかかる。仕事のノルマに追われる身にはジョギングを続ける時間も忍耐もない。が、階段は・・・

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ウォルターと不思議な304号室

17/01/22 コメント:0件 ちほ

「おたまちゃん、おはよう」
 6歳のウォルターは、おたまじゃくし5匹に挨拶する。イヌさんかネコさんが欲しいと父にねだったら、おたまじゃくしがやってきた。家でお客様相手のパブを開いているので、抜け毛の心配のないおたまじゃくしを父は選んだ。「おたまじゃくしはね、大きくなったらカエルというドラゴンに変身して、空を飛ぶんだよ」という父の言葉を信じていたので、成長するのを楽しみにしていた。
「ボ・・・

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一目惚れをマカロウハイツで

17/01/21 コメント:0件 恵本とわも


扉が開いて、その隙間から顔を覗かせた彼女と目が合った。瞬間、世界が制止したような気がした。
向かいの家で騒いでいた見知らぬ子どもたちの声も、近くの道路から響いていた車の音も、耳に入ってこなくなった。
僕は彼女に釘付けになった。
つぶらな瞳に、淡いブルーのまぶたが綺麗だった。アイシャドー、というものをつけているのだろうか。整った顔によく似合っている。程よく色づいた唇と、肩に・・・

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あの頃

17/01/21 コメント:0件 みみ


「宜しくお願いします」と挨拶をし私は大家さんに鍵をもらい部屋の扉を開けた。*304号室*ここが新たな住まいになる。私は大学進学のため独り暮らしを始める。慣れない街だけど昔の自分とは見違えるように変わるんだと胸を張ってここにきた。明日から授業が始まるし友達を作って沢山勉強して有意義な学生生活を送ろうと決心していた。

***
「あなたにぴったりよ、ここの部屋。とても素敵ね・・・

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304号室

17/01/20 コメント:0件 りんご◯

304号室。
それはあの子の部屋。
今日も僕はその部屋に足を運ぶ。

「調子どう?」
「…いつも通りです」
「それなら良かった」
今日の会話終了。
僕は今、この子を監禁している。
泣き叫ぶ様子も、逃げ出そうとする様子もない。
監禁して2日目には、手枷は全て外した。
鍵も開いている。
それなのに、この子は逃げようとしない。

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多元宇宙の304号室

17/01/20 コメント:0件 

 多元宇宙、という考え方がある。ようするに、宇宙が並列していっぱいあるんである。
 で、神様にとってのこの宇宙は『304号室』と呼ばれていた。まあ、304番目の宇宙なのだろう。
 なんでこんな話をしているかというと、おれが住んでるマンションの304号室を出てみたら、宇宙の外側に来てしまったからだ。
 宇宙に外はあるのか、という問いには、ある、としか言えない。とりあえず、変な空間に・・・

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人の群れ

17/01/20 コメント:0件 スタンピード喜多見

 久しぶりの仕事が入った。ここしばらくは何事もなく、平和な学生生活を送っていたので、ずっとこの幸せな時間が続くのかもしれないと錯覚さえ覚えてしまった。
 依頼内容は単純なもので、「N町のとあるアパート、その304号室の調査をしてこい」というものだ。依頼者はそのアパートの大家さんで、本人はあまり事情がよくわかっておらず、苦情がひどいのでどうしたらいいものかと悩んでいるときに、天童が相談に乗って・・・

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テーマについて、いろいろ考えた。

17/01/20 コメント:0件 糸井翼

つまらない教授の話がまだ続いている。プリントに書いてある内容を棒読みしているだけでしょ。プリント配って授業終了でいいから。
スマホのゲームにも飽き飽きしてノートパソコンを開く。小説でも考えようかな。
インターネットがなかなか開かない。今日は機嫌悪いみたいね。パソコンよ、ごめんね。

小説投稿、今回の小説のテーマは「304号室」。「304号室」、うーん、どうしようかなあ。

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誕生日は3月4日

17/01/19 コメント:0件 華満零

きっと、運命ってこういうことを言うのだ。

私達の出会いは、サークルの先輩と後輩という何の変哲もないものだった。
「え!?平井先輩の誕生日って3月4日なんですか!?私もなんです!」
と、叫んだのは私が選んだ文芸サークルでの新歓コンパ。
「うん、そうだよ。沢野さんも3月4日生まれなの?」
穏やかな笑顔と声音。不覚にも心臓が跳ねた。心の揺らぎを悟られないように元気よ・・・

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マイホーム

17/01/19 コメント:0件 歪鼻

「時代も変わったもんだな……。」

304号室。

それがYの購入したマンションの部屋だった。
一昔前なら『4』の付く部屋なんて存在もしなかったのに、昨今の住宅事情で今は十分な市民権を得ている。
それどころか、俺のようなゲン担ぎがいるせいで、格安物件として人気を博しているから始末が悪い。

「俺からすると、お前さんはホント物好きだ。」

・・・

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矢場荘304号室

17/01/19 コメント:0件 吉岡 幸一

「あなた304号室に住んでいるって本当ですか」
 近所のスーパーで買い物をして帰っていると、突然エプロンをした婦人に呼び止められた。
「はい」と、昭夫はいつものように答えて頭をかいた。
 引っ越しをして来てからというもの、これまで同じ質問を何度されたことだろう。
「なにも変わったことはありませんし、いたって平和に暮らしていますよ」
 聞かれる前に昭夫は答えてしまう。<・・・

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Heaven’s door

17/01/19 コメント:2件 かわ珠

 目が覚めると、そこは真っ白な正方形の部屋の中だった。
 それぞれの辺の中心には扉が一つずつ取り付けられている。その扉には、101,201,301,401と数字が打たれている。そして、この部屋の中には自分も含めると、四人の人間がいる。
「つまり、それぞれが一人ずつ、各部屋に入れってことなんでしょうかね?」
 と、眼鏡をかけた男が言った。
「まあ、状況から見ればそうじゃないか・・・

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かくて阿呆は楽園を目指す

17/01/18 コメント:0件 星にぼし

「……よし、テツ。 今夜の計画の最終確認をしようか」
夕暮れの空に鮮やかに映る、広大な土地を所有するホテル。 ホテルの背には海が広がり、空は一切その景色を遮るものが無い優雅な宿泊施設の洋室――その一角で、僕は話を切り出す。
「ああ、OKだタク。 空色良好視界も上々、世界が俺達の勝利を祝福してやがる。 ……まったく、気の早い空だ」
窓から見える夕日を見つめながら答える友人、テツ。 ・・・

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17/01/17 コメント:0件 チャイナ

 絶え間ない破壊衝動。何かに負けた時はいつもそれを感じる。テニスでもチェスでもポーカーでも。周りも自分も傷つけて、終わらせたくなる。そんな気持ちを、今も感じている。
 本当は、この気持ちが少し好きなのだ。自分を傷つける事は快感だ、みんな認めたがらないけど。リストカットもカラオケも、二郎系ラーメンも筋トレも、すべて自分を傷つけてその代わりに快感を得る行為なのだ。僕はその自分の気持ちを認める。傷・・・

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住民皆304

17/01/17 コメント:2件 かるり

「ヨナガと申します」
 ドアを開くと若い女性が立っていた。そして今日5回目のあのセリフを言う。
「304号室に住んでいます」

***

 それは夕方から始まった。

「304号室のドイです」
 最初は初老の男性だった。
 引っ越しの挨拶といえば、引っ越してきた側が先住者を訪ねるのが定番だが、今回は先住者側から訪ねてきた。ドイさんが変わっ・・・

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Not Modified

17/01/16 コメント:1件 小李ちさと

うちのキャンパスには18個の文化系サークルがある。そのうち11個が、3階建てのサークルセンターに部室を持っている。各階に4部屋ずつの建物は、大学生のサークル活動に提供される施設にしては立派すぎるような気もする。それでも建てられてからかなりの時間が経っているから、あちこちにぼろが出て隙間風も入る。古い小学校みたいな空気がある。

1階は音楽系のサークル。軽音とか合唱とかギターとか、いつ通・・・

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松竹梅

17/01/15 コメント:0件 栗山 心

 「304号室?4が付くなんて、あまり良い部屋では無さそうだけど」
 「この病院では欠番は無いんですよ。個室をご希望でしたよね。304号室はこの度出来た新館の角部屋の個室です。晴れていれば富士山も見えますし、一番良い日当たりの良い病室だと思われます。松竹梅なら、松ですね」
 「そうなの?それならその部屋にしておくわ」
 「わかりました。六人部屋との差額の金額を頂くことになるんです・・・

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304号室の見える部屋

17/01/15 コメント:0件 吉岡 幸一

「止みそうにないわね」
 窓の外をながめる夫の横から妻は声をかけた。ふたつ握られたコーヒーカップの片方を夫に渡し、唇で熱さを確かめながら少しだけ舌を湿らせた。
 窓の外は雪が降っている。昨夜から降り出した雪は今朝になっても止むことがない。マンションの下にある駐車場の車の屋根には雪が積もり、木々の枝も白くなっていた。
 夫婦の暮らすマンションは二棟建てになっていて、同じ敷地内の目の・・・

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19日間

17/01/15 コメント:0件 タクサリ

19日目………。
こんなに悔しい思いは初めてだ。
こんな奴が平然と日常生活を送っていいはずはない。
今日だ。今日奴が出かけた瞬間全てが終わる…。
そう決意し私は女の子に微笑みかけた。

女の子はおそらく小学校低学年。
初めは泣いていたが今は感情を押し殺し人形の様になっている。
このままじゃダメだ。
なんとしても…
あの日のあの一瞬の行動が・・・

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304号室の噂

17/01/14 コメント:0件 笹岡 拓也

「ねぇ知ってる?あのマンションの304号室ってね....」
噂は常に拡がっていく。もうかれこれこのマンションの304号室に住んでから丸8年が過ぎようとしているのにも関わらず、私はこのマンションの誰とも顔を合わせたことがない。
表札も出していないし、基本インターホンも出ようとしない。宅急便などの配達物も家では受け取らないようにしている。
「304号室ってね。誰も住んでないのに微かに・・・

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304号室の在り処(ありか)

17/01/14 コメント:0件 海見みみみ

「みんな死んじゃえばいいのに」
 小学校からの帰り道。ショータくんはそうつぶやくと、一人暗い帰り道を歩きます。
 そんなショータくんの背後に、とつぜん同じクラスの男子たちが現れました。そして気づかれないように、ショータくんの背中を強くおします。それはきっと単なるイタズラのつもりだったのでしょう。
 しかしタイミングと場所が最悪でした。
 ショータくんがおされた先にあったのは・・・

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どうやら呪われているらしい

17/01/12 コメント:0件 雲鈍

 この部屋はどうやら呪われているらしい。入居者は次々に変わるし、長く居着いた試しがない。そして部屋を出て行く時はみな、口をそろえて「お化けがでた」と。……失礼な。ここには僕というジェントルマンしかいないのに。

 さて、他愛もない世間話に付き合ってくれる淑女の君に、礼として最初に種明かしをしておこう。そう、僕が幽霊。地縛霊。この部屋に潜み、影から人を驚かし、その滑稽なさまをさめざめと笑・・・

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駅徒歩三分、南向き

17/01/12 コメント:0件 宇田川椎

実家である郊外の一軒家以外に、俺はマンションの一室を借りて住まいにしている。
自分以外の家族に気兼ねせず生活できるからと言う理由もあるが、一番の理由は職場に近いからである。電車で五分、最悪、歩いても二十分かからない。
俺はコマーシャルの絵コンテを描く仕事をしている。クライアントから修正の依頼が入れば、たとえ夜中でも動かなければならない。そのため職場近くに借りたこの部屋は、ある種セカンド・・・

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304号室の女王

17/01/11 コメント:0件 結簾トラン

 そんなに私のお話が聞きたいの?
 あぁもうしつこい、仕方ないわね、特別よ?こう見えて色々忙しいんだから、手短にお願いね。幼いからって見くびられては困るわ。
 だいたいこの304号室はとくべつなお部屋なの。誰も彼も好きに入らせてはあげられない。つまり、そこに住んでいる私は差し詰め、このミニチュアリゾートのリトル・クイーンってとこね。
 では、話してあげるわ。よく聞きなさい、私に嫌・・・

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地球滅亡のその瞬間まで

17/01/09 コメント:0件 八王子

 年末の仕事納めの日であっても私の仕事は定時で終わらない。
 新宿から多摩にある賃貸アパートまでは片道一時間はかかる道のりだ。
 行き帰りの電車だけで、体力をごっそり持っていかれる。
「もう少し背があれば酸素が」
 満員電車の酸素濃度の低さを恨めしく思いながら、駅舎の外に出て改めて深呼吸をすれば空気が若干美味しく感じる。
 はあ、と吐き出した息が白く、手袋をしていない・・・

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夢と現実

17/01/09 コメント:0件 水面 光

「ここだ」──私は玄関ベルの横の表札の上に掲げられた“304”という数字を見てつぶやいた。間違いない。夢の中ではっきりと見えた数字。こんなことはめったにない。数字が夢の中に出てくるはずがないんだ。試験で悩まされていることでもないし、レジでお釣りの計算ができなかったことを気に病んでいるからでもない。この数字には何か意味がある。しかもとてつもなくやヴぁい意味が──。表札には何も書かれていない。躊躇なく・・・

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人間万事塞翁がラッキーポイント🤞

17/01/08 コメント:0件 比些志

野口六郎は朝ベッドで布団をかぶったまま寝ぼけまなこでテレビをつけたら、めざましテレビの女性アナウンサーが、「下三桁は304でした。304号室にお住みの方、おめでとうございまーす」とニコニコ顔で話している。昨日の晩のニュースで上六桁の数字が自分の地区の郵便番号だったことは知っていたが、まさか自分が当選するとは夢にも考えていなかった。

野口六郎はベットから飛び起き、パジャマの上に・・・

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17/01/08 コメント:0件 空 佳吹

 僕が暮らすマンションでの、夕方のこと――
『ただいまー』
『おかえりー』
 今日も聞こえてきた上の階――3階の304号室からの楽しそうな会話……。
「新婚なのかな……?」 
 2週間ほど前、僕が引っ越してきた時からだった。独身で恋人もいない僕としては、少々、耳ざわりな会話ではあった。とは言え、こっちでグチっても仕方ないが……。その後は、お決まりの夕食などの雑談になっ・・・

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至福の時間

17/01/08 コメント:0件 鬼風神GO

−−今日はお忙しいところすみません。フリーライターをしている浅野と申します。どうぞよろしくお願いします−−
「よろしくお願いします。今日は何十年ぶりかの豪雨だそうですよ」
−−いやあ、お足元悪いなか本当に……−−
「あ、いやいや浅野さんを責めているわけじゃないですよ? それで、304号室信仰についてのお話ですよね」
−−はい。2年前から日本各地で集合住宅の304号室に住んで・・・

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春のゴング

17/01/06 コメント:0件 アシタバ

 会社から持ち帰った仕事を終わらせるためにノートパソコンのキーボードをリズムよく鳴らしていた。苦もなく作業を進めていると、新しい仕事にようやく慣れたことを実感する。新しい生活にも、だ。
 自宅であるマンションの一室は三階に位置するので、ベランダの窓を開けていても、他人に覗かれる心配はない。窓を全開にしていると暖かい夜風が頬を撫で、独特の匂いを胸に吸った。春の匂いがする。
 春という言葉・・・

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ねこのなわばり

17/01/06 コメント:0件 くまなか

 築三十二年、三階建。三畳が二間続きにあり、風呂も無ければトイレも共同。申し訳程度に給湯器がついていて、生ぬるい湯が出る。近所ではもう誰も住んでいないと言われていたが、このすみれ荘にも立派に住民は居る。ただ、まっとうに生活をしている奴がいないだけで。
大家のばあちゃんが猫に餌をやるものだから、常にどこかしかから糞尿のにおいが漂うが、家から飛び出したばかりのここあには十分天国だった。部屋は最上・・・

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304号室を探せ

17/01/05 コメント:0件 W・アーム・スープレックス

ハチの巣が堆く層をなして延々とどこまでも地表を覆いつくしているところを思い浮かべるのが、この部屋ばかりでできた世界をイメージするのにいちばんてっとりばやいのではないだろうか。そんな部屋と部屋の間を縦横無尽に貫く通路をムイ・Uが歩いていたとき、中央管理室から連絡が入った。
「304号室に向え」
「了解」
ムイ・Uは直ちに、304号室を目指した。
こんどは、どんなトラブルだろう・・・

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お正月さん

17/01/04 コメント:0件 こぐまじゅんこ

 まあくんは、アパートの三階にすんでいます。まあくんの家は、304号室です。アパートには、エレベーターがありません。小学一年生のまあくんは、三階まで元気にかけあがります。
 おかあさんは、パートの仕事をしています。おとうさんはいません。おかさんは、おとうさんとけんかして、なかなおりできなくて別々にくらしているのです。
 今日は、大みそか。
 おかあさんの仕事は休みです。おかあさん・・・

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木目

17/01/03 コメント:0件 蹴沢缶九郎

天井の木目が人の顔に見えて仕方がない。たまに建物の窓や、ちょっとした家具のネジ等の組み合わせが顔に見えるのと同じだ。
布団に入り、約十分程、電球のぼんやりとしたオレンジ色に照らされた木目を見ながら、「あの木目ははたして男なのか、女なのか…」と、割とどうでもいい事を考える。あの力強さを放つ目は男の様な気もするが、あの口の色っぽさは女である。
自分でも呆れる事に頭を使っていると、いつしか眠・・・

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三〇四号室から

17/01/02 コメント:0件 nekoko

 三〇四号室には僕がいる。僕は天才だ。だから三〇四号室がどうなるか、僕だけが知っている。

 どこにでもある平凡な集合住宅に僕は住んでいる。三〇四号室。僕は生まれた時から少し古いこの住宅に住んでいるし、それは僕の生涯で変わることがない。
 僕は自分のことを天才と思っていたから、学校なんてつまらない所にはいかず、押入れの中で機械と向き合っていた。パソコン。それに向かって一日中文字を・・・

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ごめん

17/01/02 コメント:0件 るうね

「304号室なんて、だいっきらい!」
 そう言って、弥生は外に飛び出していった。
 僕はそれを追いかけることができない。
 なぜなら、僕は部屋だから。


 部屋に人格が認められたのは、もう百年も前。
 AIが組み込まれ、食事の支度から掃除、洗濯までありとあらゆることをこなせるようになってからだ。
 いまでは、部屋との結婚も認められている。
 ・・・

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引っ越しの朝

17/01/02 コメント:0件 蹴沢缶九郎

引っ越し当日の朝、私は長く暮らした決して広いとは言えない室内を見渡し、それまでの思い出にふける。
暮らし始めた当初は、こんな部屋にしか住めない自分を恨んだものだが、実際に暮らしてみると、これが意外と居心地良く、あまり荷物を持たない私には丁度いい事がわかる。きっと分相応なのだろう。
壁の染みや傷、窓からの景色、今となっては全てがいとおしい。名残惜しいが、今日でこの部屋ともお別れなのだ。次・・・

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304号室の鵺

17/01/02 コメント:2件 夏川

 騒動の発端となったのは瞳の何気ない一言だった。
「304号室の鵺野さんって凄い格好してるね」
 瞳の言葉に頷いたのは香織のみであり、由美と咲は妙な顔で首を傾げている。すると瞳はキョトンとした表情で再び口を開いた。
「あれ? 鵺野さん見たことない? お姫様みたいなふわっふわピンクのワンピース着ててね。金髪のツインテールでヘッドドレス付けてて……ロリータっていうのかな? こんなちゃ・・・

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304号室に悪魔がいる

17/01/02 コメント:2件 葵 ひとみ

俺の本名は稲寒哲咡(いなざぶてつじ)……
北海道の寒々しいオホーツク海近くの北見市のボロアパートの304号室に住んでいる。

職業は詐欺師……

いや!?語弊のないように言っておこう、
ネット占いkokono-okaに所属する専属契約占い師だ。

ハンドルネームは無数にある……

俺は小説家を目指していたんだが、才能はある・・・

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ダストシュート・ミステリ

17/01/02 コメント:2件 クナリ

 目が覚めると、僕の体はひどく暗い空間の中、がれきのようなものに埋もれていた。
 ここはどこなんだ。僕のマンションの部屋、リバーサイドメゾン304号室じゃないのか。
 目を凝らして見ると、すぐ横に愛用の冷蔵庫が横倒しになっていた。よく見ると棚や椅子やテーブルも倒れていて、全て僕の家具だった。
 状況が理解できない上に、昨日までの記憶がまるでない。

 頭がひどく痛むの・・・

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