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アシタバさん

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終らない愛情

17/02/20 コンテスト(テーマ):第101回 【 自由投稿スペース 】 コメント:2件 アシタバ 閲覧数:362

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 居酒屋で、その男は頭を抱えていた。
 難病の妻を助けるためには莫大な治療費が必要だが、いくら身を粉にして働いても、男の稼ぎでは遠く及ばないのであった。このままでは妻が神様のもとに召されてしまうかもしれない、そう思うと不安で仕方なくなり、男は飲み馴れない酒をこれでもか、と胃に流し込んでいた。
 泥酔し、意識がちぐはぐになると、男の前に、不思議な雰囲気を纏った老紳士が現れた。
「こんばんは、何か悩み事でも?」
 聞かれるまま、男は酔った勢いで、洗いざらいを打ち明ける。老紳士は訳あり男に心底同情したようで、目元を拭う素振りを見せた。
「なるほど、それは我が身を裂かれることよりもお辛いでしょうに。よろしければ私が何とかして差し上げましょうか?」
 優しく微笑む老紳士に男は、本当ですか?! どうか助けてください! お願いします! と泣き縋った。老紳士はそんな男を父親さながらに抱きしめ、安心しなさい、全て大丈夫ですよ、と何度も言って聞かせた。
 男が神様と老紳士に感謝しようとした次の瞬間、老紳士の顔から微笑みが消える。
「ただし、一つ条件があります」と厳かに告げてきた。温和な雰囲気は一切無くなっていた。
「奥さんの代わりにあなたがどうなってもいい覚悟はありますか?」
 豹変した老紳士の迫力は男を怯ませるのに十分だった。蛇に睨まれたカエルのように固まってしまう。
 しかし、意を決した男はこくんと首を縦に振った。妻のためならどうなってもいい、という強い覚悟が、元来気弱なこの男を突き動かしているのだ。
 老紳士はこの答えにとても満足をしたようで再び笑みを浮かべた。
「わかりました。必ず何とかいたしましょう」
 老紳士は男と固く握手をして、背を向け、その場から立ち去ろうとした。
 すると、最後に一度だけ振り向いて、こう言い残した。
「お二人の愛は誠に美しくて永遠だ」


 居酒屋で、その女は頭を抱えていた。
 難病の夫を助けるためには莫大な治療費が必要だが、女がいくら身を粉にして働いても、女の稼ぎでは遠く及ばないのであった。このままでは夫が神様のもとに召されてしまうかもしれない、そう思うと不安で仕方なくなり、女は飲み馴れない酒をこれでもか、と胃に流し込んでいた。
 泥酔し、意識がちぐはぐになると、女の前に、不思議な雰囲気を纏った老紳士が現れた。

「こんばんは、何か悩み事でも?」



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このストーリーに関するコメント

17/02/20 瑠真

 至ってシンプルな造りなのに題名の通り、ちゃんと話が巡る仕組みになっているあたり、設定や展開にワザを感じとれてとても良いと思いました。

17/02/21 アシタバ

瑠真さん
そのようなコメントをいただけてとても嬉しいです。
今後も物語つくりの工夫に励んでいきたいと思います。
お読みいただきありがとうございました。

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