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水面 光さん

■ホームページ「水面文庫」 http://www.minamo-bunko.com/ 忙しい中でも身を粉にして執筆活動しております。ジャンルとしては現代ファンタジーが中心でございます。よろしくどうぞー

性別 男性
将来の夢 物書きでメシを食う
座右の銘 人の心は変わらないから自分が変われ

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1977

17/01/21 コンテスト(テーマ):第127回 時空モノガタリ文学賞 【 新宿 】 コメント:0件 水面 光 閲覧数:445

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私が何を考えようとたぶんこの世界では重要なことではない。だが、誰かが追求しなければ世界の真実は明らかにされないまま終わってしまう。私は心の中で密かに何度も繰り返し叫んだ。「定年までカネを稼ぐことが人生の意味であり価値を生むと心底信じ込んでるブタどもに世界一美しい終焉と始まりを与えてやろう!」──ときは1977年の夏。人間は残念ながら当事者にならねば何も理解できない。なぜそう言えるかは何を隠そうこの私がその当事者になったからだ。その記念すべき始まりがこの年だった。私はごく平凡な地方の兼業農家で生を受けた。しかしそのことは今となってはほとんど、いやまったく重要ではない。重要なのは今この時に私が何を考えているかだと思わないかね、諸君? だって、生こそこの世のすべてではないか。考えてもみたまえ、生きていれば必ず訪れるもの、それは私が言うまでもなく誰でも知っている。しかしそれ自体を口にするとどうなるかも心得ていることだろう。本当に不倫したい人が不倫したいと言うだろうか? 本当に人を殺したい人が殺すぞと言うだろうか? やさしい心を持っていない人が他人にやさしく振る舞うだろうか? ブタどもに言わせれば疑問に思うことはすべて不安につながるのだ。私は常に不安だった。なぜなら私が今生きているこの宇宙のなんたるかが何も解明されていないからだ。宇宙という言葉もアレを認識するために人間が勝手に付けた名前であり、アレは宇宙というものではない。幸運なことにこの世界ではそれを考える暇がない。しかし誰かが考えねばならない。いや全員考えねばならない。なぜなら考えることで──もういい、たくさんだ! 誰が考える? 誰が自分が生きている意味と価値を追求する? 追求せねばならないのはカネだろ、諸君? もし諸君の良心と善意がそのために発動しているのであれば今すぐくたばりたまえ! ──1977年から始まった物語はローマと同じく一日で成ったのではない。そして現在も未来が約束されていなければ成り立たない。生きているからには全力を出し切らねばならない。しかし手を抜いてきたことももちろんあるし、これからも──「志向性がなければ意味がないし価値もない」──あんちくしょう! おめえもおかたい連中と一緒のようだな! リスク? TPO? 何が怖い? 何を信じてる? それがこの世界で本当に重要なことなのか? 刮目したまえ、諸君! この世界で最重要なのは“カネ”であると小学生でもわかるのだよ。しかしたぶん彼らにとって大切なのはそれじゃない。子供は未来のことしか考えてない。なぜそう言えるか? かつて私も子供だったからであり、それを認識できるということは大人は過去を考えることができるということだ。過去は十中八九いやなこととして記憶に残る。だが、我々はそれらから学んできたではないか。今に活かすことができる能力を持ち、そして未来を変える能力さえ持ちあわせている。今こそ、そう今だ。今その力を使わないでどうする? おそらく数年後、その力は衰える。いや確実に。しかし今は──今その力をすべて使い切るのだ。食べて寝ればある程度回復するがガタは確実にくるから、元気なうちに全力をそそぐのだ。何に? まさかカネ稼ぎと言う低能が居るなら、そいつを諭す気はさらさらない。真実が一つなら、それがカネ稼ぎだと信じ込んでるやつには何を言っても無駄だからだ。──何度も言うようだが私には過去がある。酒をやって忘れようとしたこともある。しかし、忘れてはならないことも確実にあるのだ。いや忘れてはいけないというより、私にはどうしても忘れることができないことがある。それらから学んだ“理念”を持つことが私にとってこれから生きる上で最も大切なことだ。これを人によりけりと言うなら別に止めはしない。第一それも理念ではないか。独り身の男に残された唯一の楽しみが何かにその愛を全力でそそぐことだとしたら、まず理念を持つべきだ。何者の嘲弄にも屈しない強い意志とともに。──毎日、嘲笑の中で仕事をしたが、それだけが頭の中に残り、憎しみが生まれたが、私には理念がある。もう迷わない。たとえ向けてきた良心と善意が無駄になる終わりが来るとしても、生があり、考えることができるのなら、絶対に諦めてはならない。繰り返すがこれはローマと同じく一日にして成ったのではない。──新しく宿った命に祝福を! そしてその命に私と同じ理念が構築されんことを! ──さて、こうしてようやくブタどもになぜ美しい終焉と始まりの必要性があるのかを語り聞かせることに意味が生まれるのだが、この世界に無駄なことをする理由があるとしたら、それは人間の持つ基本原則の“執着”──それが“理念”と結びついた瞬間に揺るがない強大な力になって──たとえ蹂躙されようとも──私を突き動かすからだ。


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