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こぐまじゅんこさん

詩を書いたり童話を書いたりしている主婦です。 みなさん、よろしくお願いします。 ムゲンブックスさんから、絵本「ねんねのかみさま」を出版しました。 アマゾンでも取り扱っていますので、よかったら みてくださいね。 ブログ「こぐまのノート」も書いています。

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すずめのチュンコ

16/08/04 コンテスト(テーマ):第115回 時空モノガタリ文学賞 【幽霊 】 コメント:0件 こぐまじゅんこ 閲覧数:442

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 村のはずれに、おじいさんとおばあさんがくらしていました。
 おばあさんは、編み物がすきで、カーディガンやセーターなどを編んでいました。
 ふたりは、とてもなかよしでした。
 だけど、去年、おじいさんが、病気でなくなってから、おばあさんは、笑わなくなりました。、
 今でも、おばあさんは、毎日窓辺で、編み物をしながら、
「あーあ、わたしも、あの鳥のように空をとべたら、おじいさんのいる天国にとんでいけるのになぁ……。」
と、ため息をつくのです。
 ある日、いつものように、窓の外をながめていると、一羽のすずめが、ふらふらしながら、空からおちてきました。
 おばあさんが、あわてて外にでてみると、すずめは、動けなくなっていました。
 けがをしているみたいです。
 おばあさんは、すずめを両手で、そっとだきあげると、家の中につれてかえりました。
 おばあさんは、一生懸命、看病しました。
 二、三日して、すずめは、元気になりました。
「おばあさん、ありがとう。わたし、すずめのチュンコ。おばあさんに、お礼をしたいから、明日、ここで待っててね。」
 すずめのチュンコは、そう言うと、とんでいきました。
 次の日、おばあさんが編み物をしていると、窓をコツコツたたく音がします。
 チュンコが、本当にもどってきたのです。
 チュンコは、赤い丸い実をくわえています。
「おばあさん、この実を食べたら、空をとべるようになるの。食べてみて。」
「えっ、空をとべるのかい?」
 おばあさんは、本当かしら、と思いました。
(なんだか、こわいなぁ……。)
 まよっているおばあさんに、チュンコが言います。
「おじいさんのところに行けるんだよ。」
「本当かい? じゃぁ、食べてみようかなぁ。」
 思いきって、ひと口、食べてみます。
 すると、みるみる体が小さくなって、背中から、羽がはえてきました。
「おや、ふしぎ。羽がはえたよ。まるで、鳥になったみたいだわ。」
 おばあさんは、ゆっくり羽を動かしてみました。ふわりと体が、うかびます。
 チュンコは、首にさげたふくろの中から、青い丸い実をとりだすと言いました。
「羽がいらなくなったら、この青い実を食べてね。」
 
 おばあさんは、青い実を戸棚にしまうと、さっそく、おじいさんに会いに行こうと思いました。
 羽をバタバタさせて、空高くとんでいきます。
 おひさまが、おばあさんを応援してくれます。
「ほら、あと一息だよ。となりにみえている雲の上に、おじいさんはいるよ。」
 おばあさんは、おじいさんに会いたくて、一生懸命とびました。
 そのとき、黒い雲が目の前に広がりました。
 雨が、パラパラふってきます。
 おばあさんは、心の中で、つぶやきます。
(おじいさんに会えるんだもの。がんばらなきゃ。)
 やがて、雨もやみ、きれいな虹がかかりました。
「うわぁ、きれい。」
 おばあさんは、みとれて、羽を動かすことを忘れてしまいました。 
 ヒューン
 おばあさんは、おちていきます。
 そこに、チュンコがやってきて、おばあさんを背中にのせてくれました。
「おばあさん、羽を動かすのをやめたら、おっこちちゃうよ。」
 チュンコは、そう言ってわらうと、おじいさんのいる雲につれていってくれました。

 やっと、雲の上につきました。
 おじいさんが、びっくりしています。
 おばあさんは、なつかしいおじいさんに会えたうれしさで、わんわん泣きました。
「よくきたねぇ。」
 おじいさんが、おばあさんの肩を、そっとだきました。
 それから、おじいさんは、お茶をいれてくれます。
「あー、おいしい。おじいさんとお茶が飲めるなんてねぇ……。」
 おばあさんは、うれしくなって、会ったら話そうと思っていたことを、次から次へと話しました。
 おじいさんは、
「ふんふん。」
と、聞いてくれます。
 たっぷり話をきいてもらったおばあさんは、すっきりした笑顔で言いました。
「おじいさんは、いつもここからみてくれているんだね。」

 おばあさんは、おじいさんの雲にのせてもらって、家の庭までつれてかえってもらいました。
 家に帰ると、おばあさんは、戸棚から青い実をとりだしました。
「もう羽はいらないよ。」
 そうつぶやくと、青い実を、ぱくっと食べました。

 それからというもの、おばあさんは、おじいさんがいたころと同じように明るく元気になりました。
「だって、わたしには、おじいさんがついていてくれるからね。」
 おばあさんは、今日も、せっせと編み物をします。
 なぜって、このごろは、近所の若い人にも、編み物を教えてあげるようになったのですもの。
 おばあさんのまわりは、いつも笑い声でいっぱいになりました。

 チュンコは、窓の外から、おばあさんをながめては、にっこりしています。
 


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