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草愛やし美さん

時空文学コンテスト開催100回、おめでとうございます。思えば、初めて私が、こちらに投稿したのは2012年5月のこと、もう4年近く経ったのですね。時空モノガタリさまが、創作の場を与えてくださったお陰で楽しい時間を過ごすことができました。感謝の気持ちでいっぱいです。 また、拙い私の作品を読んでくださった方々に感謝しております。 やし美というのは本名です、母がつけてくれた名前、生まれた時にラジオから流れていた、島崎藤村作詞の「椰子の実」にちなんで……大好きな名前です。ツイッター:草藍やし美、https://twitter.com/cocosouai 

性別 女性
将来の夢 いっぱい食べて飲んでも痩せているっての、いいだろうなあ〜〜
座右の銘 今を生きる  

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究極結婚チャーチ

12/06/08 コンテスト(テーマ):第七回【 結婚 】 コメント:4件 草愛やし美 閲覧数:1830

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「亜里沙、このゼゼシィに出ている究極結婚チャーチってのどうだろう?」
「何々? 究極の結婚式が出来ます――ゼウス協会、何だか怪しいネーミングね。究極って大丈夫かしら慶太」
「究極なんだから凄く素晴らしい式が出来るんじゃないのかな」
「ゼウスってあの全能の神の?」
「かもな、面白そうじゃんか、行ってみようよ」
「そうね、体験会無料だもんね」

 二人の若者は週末にゼウス協会にやってきた。簡単なアンケート用紙を書いた後、待合という部屋に通された。そこには体験希望の他のカップルたちが列を作っていた。
「ねぇ、何だかこの待合ってUSJとかにあるアトラクションの待合に似ていない? ほらこのDVDが映されているところとか……」
「だなぁ」
 テレビのモニター画面ではデモテープが繰り返し流れている。
『ようこそ、究極チャーチ体験にお越し下さいました。私は案内人のゼウス博士じゃ。次に進んで行くと赤い扉があるんじゃが、その扉が開いたらやってくるライドにお二人ずつ順番にお乗り下さい。お座り下さると自動的に安全バーがかかります。お荷物などは足元のバスケットの中へお入れ下さい。運転中は決してライドからお降りにならないようにお願いいたします』
 しばらくデモテープを眺めていると列が縮まり、赤い扉が見えた。扉の前ではデモテープの内容が変わっていた。
『ようこそ、究極チャーチ見学体験の旅へ。扉が開きましたら、やって来ますライドにお乗り下さい。ライドにお乗り下さいますと自動的に安全バーが降ります、同時にエルメットという眼鏡の装置が降りてきますのでそれをお付けください。これに映ります液晶画面にて教会の体験をすることができます』

 扉が開いた。ライドは可愛いピンクのハート型をしている。ライドに乗り込みエルメットをつけると液晶画面が見えた。
 『今から体験します画像はフィクションであり実在する人物や名称とは一切関係がありません』機械音のアナウンスが流れ、ライドが動き出した。

 ライドの行方に幸せそうな結婚式の画像が流れた。
「素敵、あの人のドレス可愛いわ」
「綺麗な色のドレスだね」

 そんな会話を交わしていると次に二人の年とった男女の画像が現れた。

 どこかの病室のようだ。目の前の老女は病に臥しているのかベッドから身を乗り出している。恐ろしい形相で男を睨みつけ罵った。
「慶太あんた私の通帳を盗んだな、返せ返せ。あの女に貢いでいるんだきっとそうに決まっている。誰かー警察呼んでよ、この男、泥棒よ」
「そういう亜里沙、お前だって俺が嫌いになってこっそりネットで知り合った奴と浮気しているだろう、俺が知らないとでも思ってたか」
「何言うの慶太あんた、会社をリストラされてんのに、パチや競馬に入れ上げてお金入れてくれなかったじゃん。あれほど貧乏は嫌だって言ったのに」
「亜里沙お前こそ俺の給与をヤポオクなんかに貢いでたじゃないか。お陰で生活はめちゃくちゃだ」
 その光景を見てライドに乗った二人が叫んだ。
「何よこれ」
「悪い冗談か」
 機械音が響いてきた。『どんな時も当協会所属の専門スタッフがご相談にお乗りすることができます』

 とたんにライドがガクっと傾き、暗闇の中に落ちた。
「わああああああああーーー」
 二人は叫んだ。ライドは水しぶきを上げながら大きな水槽の中に沈んだ。防水仕様になっているのか水中をライドは進む。
『オプションを選んでください。当協会で挙式された方には、ゆりかごから墓場までのお二人の結婚生活を支えるシステムをご利用いただくことができます。至れり尽くせりの究極の結婚生活のため、ぜひ当協会をお選びください』ライドの中で機械音の声が響いている。
 やがて二人の前に大きなシャボン玉に入った洋装のウエディング姿の男女が現れた、その次に和装の結婚衣裳の新郎新婦が現れ消えていった。いくつもの大小のシャボン玉が次々と舞いながら現れては消えていく。様々なウエディングアイテムのようだ。中には離婚届けの用紙や離婚への手引きという本の入ったシャボン玉も見える。

 最後にゼウス博士が現れた。
『今日もまたどこかでカプルが結ばれているようじゃ、実はわしは神父も務めておるんじゃが、この文言をみなさんはご存知かな――あなたはこの者と結婚し、神の定めに従って夫婦となろうとしています。あなたは、その健やかなときも、病めるときも、喜びの時も、悲しみの時も、富めるときも、貧しきときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、そのいのちのかぎり、堅く節操を守ることを約束しますか――そうじゃ誓いの言葉じゃ、結婚したら、約束を反故にしないで頑張ってくれ給え。わしからのメッセージじゃ』

 ライドが上昇して体験は終わった。相談した結果、慶太と亜里沙はこの協会で挙式することにした。 


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このストーリーに関するコメント

12/06/09 草愛やし美

おおくぼゆういちさま

お読みくださり、コメントをありがとうございます。

ご指摘の「協会」に関してですが、これは「ゼウス協会」という結婚式場を経営する会社の名称として使っています。立派な宗教の元に設立しております教会が経営しているのではなく、経営者が今流行りの結婚式場を表したいと思い、敢えて「協会」としました。
最近は様々なコンセプトで結婚式を演出する結婚式場ができています。そういった会社が経営する結婚式だからこそ、こんな奇想天外なフォローをする式を提案しているということを表現したかったのです。

わかり難かったというご指摘、真摯に受け止め、今後創作をする上でこういった点にも気をつけていきたいと思います。

ありがとうございました。

12/06/11 ドーナツ

面白いお話ですね。大阪のユニバーサルスタジオみたいな。
ゼウス協会、行ってみたいような気がしますが、
ここで結婚すると,何かにつけて この妙な博士が夫婦の生活に首突っ込んできそうで,ちょっと怖いような。


でもこんな協会、ほんとにあったら面白い。
結婚生活は誓を破らないように頑張んないとね。
イヤァ、博士の言葉はまさに真実。

12/06/12 草愛やし美

ドーナツさま
コメントをありがとうございます。

最近出没しています結婚式場、リーズナブルでとても素敵なんですよ。
もし、ここまで面倒みてくださる協会があれば、結婚生活も失敗が減るのでは……、喧嘩の仲裁をしてくださり夫婦円満に。子育ての悩みも相談できれば虐待などもなくなるかもしれません。
現代は、核家族化していますので、昔の親や祖父母の代わりなんてどうかなと考えて書きました。

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