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yoshikiさん

面白い作品を知り、自分でも書いて見たくなって何年も経ちました。よろしくお願いします。 2010年 小説現代S&Sコーナーに初めて送った作品が掲載されました。作品名『幽霊の見える眼鏡』 とにかく面白いものが書いていけるといいなと思っています。 イラストはエアブラシと面相筆で昔描いたものです。

性別 男性
将来の夢 楽隠居
座右の銘 不可思議はつねに美しい、どのような不可思議も美しい、それどころか不可思議のほかに美しいものはない。アンドレブルトン

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ある実験

12/11/28 コンテスト(テーマ):【 兄弟姉妹 】 コメント:0件 yoshiki 閲覧数:1423

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 灰色の冬空に雪がちらついていた。正月の神社の境内に小学生の兄弟がいる。
 兄が真二で弟が浩二だ。赤いほっぺたをした浩二が元気いっぱいな声で言った。
「にいちゃん。オレ父ちゃんにお守りもらったんだ。いいでしょ!」
 真二が興味本位の顔をして答えた。
「お守りかよ、へえ、そりゃよかったな。で、どんなお守りなの?」
「うん。父ちゃんが教えてくれたんだけどこのお守りはねえ、江戸時代、大工の辰五郎という人が高い梯子の上から落ちた時、持っていたお守りの板が辰五郎の身代わりに割れて、辰五郎は助かったんだって。それとまったく同じ霊験顕著(れいげんあらたか)なお守りなんだ」
 浩二はそう言って、真二にお守りを差し出した。
「霊験顕著って、難しい言葉を覚えたね。だけどおまえ意味わかってんの?」
 真二がちょっと真面目そうな顔をして言った。そして差し出された赤いお守りの袋の中を開けて見ると、浩二という名が筆文字で書かれた小さな板が入っていた。不思議そうな顔をして真二が言った。
「ふーん、なるほど仮に交通事故か何かに遭っても、この板がおまえの代わりに割れておまえは助かるのか。身代わりってことか、そういうことか?」
「うん。そういう事」
 浩二が得意そうな顔をして目を輝かせた。すると真二は暫らく考え込んだ後にこう言った。
「じゃあ、このお守りが事故に遭ったらおまえはどうなるの?」
「――それ、どういうこと?」
「反対ってこと」
 真二はそう言うと浩二の名の書かれた板をアスファルトの地面にいきなり叩きつけた。 
 しかし、板は割れなかった。割れずに地面から勢いよく跳ね返って来た。

 そして……。ああ、そして……。

                         おしまい


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